法務事務の業務内容とは?基礎知識から必要資格、キャリアパスまで徹底解説
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はじめに
「法務事務の仕事内容や必要な資格が気になる」「未経験から法務事務を目指せるのか不安」と感じている方も多いのではないでしょうか。
法務事務は、企業や法律事務所で契約書の作成やリーガルチェック、社内規定の整備など多岐にわたる業務を担う専門職です。本記事では、法務事務の業務内容や必要な資格、キャリアパスについて最新情報をもとに分かりやすく解説します。
未経験からでも挑戦できる資格やスキルアップの方法、実務経験の積み方も紹介しているので、これから法務事務を目指す方や転職を考えている方に役立つ情報が満載です。
ぜひ最後まで読み進めて、法務事務の仕事の理解を深めてください。
法務事務とは何か?基礎知識と業務内容の概要
法務事務は、企業や法律事務所で法律知識を活かして契約書管理や法的書類作成、調査など多岐にわたる事務作業を担う専門職です。
法務事務は、契約書のリーガルチェックや社内規定の整備などを通じて、企業活動における法的リスクの低減に貢献します。ここでは法務事務の定義や役割、主な業務内容、専門性について詳しく解説します。
法務事務の定義と役割
法務事務とは、企業の法務部や法律事務所において法律に関する知識を活かしながら各種事務作業を担当する職種です。
主に契約書の作成・管理、法的文書の整備、社内規定の確認、訴訟関連の補助などを通じて、組織の法的安全性を支えます。
法務事務は、企業活動における法的リスクの低減に貢献する「守り」の役割を担っています。
たとえば、契約書の内容に不備がないか確認し、必要に応じて修正やアドバイスを行うことで、後々の紛争や損害賠償リスクを回避しま
また、法的な観点から社内規定の整備や運用をサポートし、従業員が安心して働ける環境づくりにも貢献します。
法務事務の主な業務内容と具体例
契約書の作成・チェック・管理
企業間取引や雇用契約、業務委託契約など多様な契約書を作成し、内容に不備やリスクがないかをリーガルチェックします。条項ごとの意味や法的効力、リスクの有無を細かく確認し、必要に応じて修正案を提示します。
法的文書の作成補助
覚書や合意書、通知書などの作成をサポートし、取引先との合意内容を法的に有効な表現で文書化します。必要な条項を盛り込み、企業の意思決定を法的に裏付けます。
社内規定や就業規則の整備・更新
労働基準法や個人情報保護法など法改正があった場合、社内規定を最新の法令に適合させるための見直しや改訂作業を担当します。法改正情報の収集も重要な役割です。
法律相談や調査の補助
従業員からの労務相談や契約に関する法的疑問に対し、法的根拠を調査し、分かりやすく説明します。トラブル発生時には訴訟書類の作成や証拠資料の収集、裁判所や弁護士との連絡調整なども行います。
株主総会や取締役会の準備・運営補助
議事録の作成や必要書類の準備、法的手続きの確認など、会社運営の根幹を支える重要な業務です。法令遵守の観点からも正確な対応が求められます。
法務事務における専門性とは?
法務事務には、一般事務とは異なる専門性が求められます。主なポイントは以下の通りです。
・法律知識の習得
契約書や社内規定などを扱うため、民法・会社法・労働法・個人情報保護法など幅広い法律への理解が不可欠です。法改正にも迅速に対応し、業務へ反映させる力が求められます。
・文書管理の正確性
法的文書は保存期間やアクセス管理が厳格に定められており、正確さと注意深さが必要です。ミスや情報漏洩が許されない分野です。
・関係者との調整力
現場担当者、経営層、弁護士、行政機関などと連携しながら業務を進めます。専門用語をわかりやすく説明し、相手の意図を正確にくみ取る力が重視されます。
出典:企業法務で勉強するべき法律とは?|KEIYAKU WATCH
法務事務に必要な資格とスキル
法務事務は、法律知識や事務処理能力が重視される職種です。資格取得やスキルアップによって、未経験者でも目指せる職種であり、実務を通じて専門性を高めていくことが可能です。
ここでは、法務事務で役立つ資格や求められるスキル、未経験者でも取得可能な資格について詳しく解説します。
法務事務で役立つ資格一覧
ビジネス実務法務検定
この資格は、企業法務で必要とされる民法・商法・会社法・独占禁止法・消費者契約法・個人情報保護法など幅広い法律知識を体系的に学べる民間資格です。
3級は基礎的な法律知識の証明、2級以上は実務での応用力や専門家対応力が身につくため、法務事務の採用やキャリアアップで高く評価されます。
契約書の作成やチェック、社内規定の整備、法的文書の作成補助など、日常の法務事務業務で直結して役立つ知識が得られます。
また、法務部や弁護士との連携もスムーズになり、実務上の判断力やリスク回避能力が向上します。
MOS(マイクロソフトオフィススペシャリスト)
MOSはWord、Excel、PowerPointなどのオフィスソフトの操作スキルを証明する国際資格です。
法務事務では契約書や議事録、社内文書の作成・管理、データ整理などパソコン作業が多いため、MOSの資格を持っていると、正確かつ効率的な事務処理能力をアピールできます。
特に法務文書は正確性が重視されるため、WordやExcelの高度な機能を使いこなせることは大きな強みです。未経験者でも取得しやすく、即戦力としての評価にもつながります。
宅地建物取引士資格(宅建)
宅建は不動産取引に関する国家資格ですが、企業の法務部や総務部で不動産関連の契約書作成やチェック、登記手続き、賃貸借契約の管理などを担当する場合に非常に役立ちます。
不動産を所有・賃貸している企業や、オフィス移転・新規出店などの場面では、宅建の知識を活かして法的リスクを低減させることができます。
また、宅建資格を持っていることで、法務事務の中でも不動産関連業務に強みを持つ人材として差別化でき、幅広い業務に対応できる点が評価されます。
求められるスキルとは?
法務事務に求められるスキルは多岐にわたり、専門知識だけでなく実務力やコミュニケーション力も重要です。以下に主なスキルを挙げ、それぞれのポイントを解説します。
法律や契約に関する基礎知識
法務事務の根幹をなすのが法律知識です。契約書や法的文書の内容を正確に理解し、潜むリスクを見抜く力が求められます。さらに、法律は頻繁に改正されるため、常に最新の情報を学び続ける姿勢も欠かせません。
文書作成・管理能力
契約書や社内規定、議事録など、多種多様な文書を正確かつ効率的に作成し管理するスキルは必須です。細かい誤字脱字や記載漏れが重大なトラブルに繋がるため、細部まで注意深く取り組む几帳面さが重要となります。
コミュニケーション力
法務事務は社内の担当者や経営層、さらには弁護士や行政機関など多様な関係者と連携します。専門用語をわかりやすく説明し、相手の意図を正確に把握し調整する能力が求められ、調整役としての役割も担います。
守秘義務の遵守と情報管理意識
企業の機密情報や個人情報を扱うため、高い倫理観と情報管理の意識が必要です。情報漏洩を防ぐためのセキュリティ知識や社内ルールの厳守は、法務事務の信頼性を支える重要な要素です。
パソコン・ITスキル
WordやExcel、PowerPointなどの基本的なオフィスソフトはもちろん、電子契約システムやドキュメント管理ツールなど最新のIT技術にも対応できる柔軟性が求められます。これにより業務効率が大幅に向上します。
論理的思考力と問題解決力
法的トラブルが起きた際には、事実関係を整理し、冷静に分析して最適な解決策を導き出す能力が必要です。複雑な案件でも論理的に考え、問題を解決に導く力が高く評価されます。
法務事務未経験者でも取得可能な資格
未経験から法務事務を目指す場合、まずは基礎的な資格の取得が大きな武器になります。以下の資格は、法律知識の証明や実務へのスムーズな適応に役立ちます。
ビジネス実務法務検定3級
法律初心者でも短期間の学習で合格を目指せる入門資格です。民法や会社法、労働法など幅広い法律の基礎知識を体系的に学ぶことができ、契約書や社内規定の理解、法的リスクの発見力を養えます。
試験は年2回、全国のテストセンターや自宅のパソコンで受験でき、公式テキストや問題集も豊富で独学にも適しています。合格率も高く、社会人経験があればイメージしやすい内容が多いのも特徴です。
ビジネスコンプライアンス検定
企業活動における法令遵守やリスクマネジメントの基礎を学べる資格です。未経験者でも取り組みやすく、コンプライアンス意識や内部統制の基本を理解できます。実務でのトラブル防止や、企業の信頼性向上に貢献できる知識が身につくため、法務事務の求人応募時にもアピール材料となります。
個人情報保護士
個人情報保護法や情報セキュリティの知識を体系的に学びたい方におすすめの資格です。近年は個人情報の管理が厳格化しているため、企業法務でも重視されます。試験対策講座や模擬試験も充実しており、未経験者でも十分にチャレンジ可能です。
これらの資格を取得することで、法務事務の求人応募時に「基礎知識がある」ことを証明でき、実務に入ってからも理解が早くなります。資格取得を通じて自信をつけ、未経験からでも安心して法務事務のキャリアをスタートさせることができます。
法務事務に向いている人とは
法務事務は、責任感や几帳面さ、学習意欲などが求められる職種です。自分の特性と照らし合わせて適性を判断しましょう。ここでは、法務事務に向いている人の特徴や必要な能力、向いていない人の特徴と適正な職種について解説します。
向いている人の特徴
責任感が強い人
法務事務は企業の法的リスクを低減させる重要な役割を担っており、ミスや見落としが大きなトラブルにつながることもあります。自分の仕事に責任を持ち、最後までやり遂げる姿勢が求められます。
学習意欲が高い人
法律は頻繁に改正されるため、常に最新の情報をキャッチアップし、知識をアップデートする必要があります。新しい分野にも積極的にチャレンジし、知識の幅を広げられる人が向いています。
慎重で細かい作業が得意な人
契約書や法的文書の作成・チェックでは、細部にまで注意を払い、ミスや記載漏れを防ぐことが求められます。几帳面で丁寧な作業ができる人は、法務事務で高く評価されます。
法律やルールを守る意識が高い人
法務事務は、企業のコンプライアンスやガバナンスを支える役割を担っています。ルールや規則を正しく運用し、モラルや法令遵守の意識が高い人が適しています。
コミュニケーション能力がある人
法務事務は、社内外のさまざまな関係者と連携しながら業務を進めます。専門用語を分かりやすく説明したり、相手の要望を的確に把握して調整したりする能力が求められます。
危機管理意識が高い人
契約や取引において、トラブルやリスクを未然に防ぐための危機管理意識も重要です。起こり得る問題を先回りして考え、備える力が求められます。
法務事務の業務に必要な能力
几帳面さ・正確性
契約書や法律文書の細部まで注意を払い、条項ごとの意味や法的効力、リスクの有無を細かく確認する力が必要です。ミスや漏れが重大なトラブルにつながるため、細部にまで気を配る慎重さが求められます。
学習意欲・向学心
法律は常に変化しているため、最新の情報をキャッチアップし、業務に反映させる能力が必要です。自ら積極的に学び、知識をアップデートし続ける姿勢が重要となります。
コミュニケーション力・調整力
現場担当者や経営層、弁護士、行政機関など多様な関係者と連携しながら業務を進めます。相手の立場や要望を理解し、適切に調整・説明できる能力が不可欠です。
問題解決力・論理的思考力
法的な問題やトラブルが発生した際、事実関係を整理し、冷静に分析して最適な対応策を考える力が求められます。複雑な案件でも論理的に考え、問題解決に導く能力が高く評価されます。
危機管理能力
起こり得るトラブルやリスクを予測し、事前に対策を講じる危機管理意識も重要です。未然に問題を防ぐための先見性が求められます。
向いていない人の特徴と適正な職種
ルールや細かい作業が苦手な人
法務事務は契約書や法的文書の細部にまで注意を払い、正確に業務を遂行する必要があります。細かい作業が苦手だとミスや漏れが発生しやすく、トラブルの原因となることがあります。
責任ある業務を避けたい人
法務事務は企業の法的リスクを低減させる重要な役割を担っており、ミスや見落としが大きなトラブルにつながることもあります。責任を持って業務を遂行できない人には向いていません。
変化への対応が苦手な人
法律は頻繁に改正されるため、最新の情報をキャッチアップし業務に反映させる必要があります。変化を受け入れ柔軟に対応できる人が法務事務で活躍できますが、変化を嫌いルーティンワークだけを好む人には不向きです。
コミュニケーションが苦手な人
法務事務は多くの関係者とやり取りするため、コミュニケーション能力が低いと業務が円滑に進まないことがあります。
適正な職種としては、一般事務やクリエイティブ系など、柔軟性や発想力が重視される職種が向いている場合があります。自分の適性や強みを見極め、最適なキャリアを選択しましょう。
法務事務の仕事を探す方法
法務事務の求人は限られていますが、専門サイトやエージェントの活用で効率的に探せます。ここでは、法務事務の求人情報の取得方法や法務部と法律事務所の違い、エージェントやキャリアアドバイザーの活用法について詳しく解説します。
法務事務の求人情報取得方法
法務事務の求人情報を探すには、以下のような複数の方法があります。それぞれの特徴を理解し、目的に合った手段を選びましょう。
① 法務専門の求人サイトを活用する
企業法務や法律事務所の求人が多数掲載されており、希望条件に合った求人を効率的に見つけやすいのが特徴です。職種別・業界別に検索できるため、法務関連の仕事を探すには非常に便利です。
② 転職エージェントに相談する
転職エージェントでは、キャリアアドバイザーが希望や経験に応じて求人を紹介してくれます。書類添削や面接対策などのサポートも受けられるため、初めての転職や法務事務未経験の方にも心強い味方です。
③ 企業の採用ページをチェックする
大手企業や上場企業の中には、自社の採用ページで法務事務の求人を掲載しているところもあります。定期的に確認し、希望の求人があれば直接応募するのも一つの方法です。
④ ハローワークや派遣会社を利用する
ハローワークでは、地域密着型の求人や未経験者歓迎の案件が多く掲載されています。
また、派遣会社を通じて短期や契約で法務事務の経験を積むことも可能です。まずは経験を積みたいという方におすすめです。
⑤ 法律事務所の公式サイトを確認する
特に中小規模の法律事務所では、公式サイトのみで事務スタッフを募集しているケースもあります。気になる事務所があれば、採用情報を定期的に確認しましょう。
法務部と法律事務所の違い
法務事務の職場には、大きく分けて「企業の法務部」と「法律事務所」の2つがあります。それぞれの違いを理解しておくことが大切です。
企業の法務部では、自社の契約書作成やリーガルチェック、社内規定の整備、コンプライアンス対応など、企業活動全般の法的リスク管理を担当します。主な顧客は自社の各部門であり、社内の関係者と連携しながら業務を進めます。企業の経営戦略や事業活動に深く関わることができ、幅広い法務知識を身につけることができます。
一方、法律事務所では、顧客(個人や法人)の法律問題対応を担当します。主な業務は、訴訟や紛争対応、契約書作成、遺言書作成、相続手続きなどです。顧客対応や書類作成、裁判所への提出書類の準備など、実務的なサポートが中心となります。法律事務所では、弁護士の指示のもとで業務を進めるため、専門的な法律知識や実務経験を積むことができます。
エージェントやキャリアアドバイザーの活用法
法務事務に特化した転職エージェントやキャリアアドバイザーを利用することで、非公開求人の紹介や書類添削、面接対策など、転職活動を有利に進めることができます。エージェントは、求人企業の内部情報や選考ポイントを把握しているため、自分に合った求人を効率的に探すことも可能です。
また、キャリアアドバイザーは、履歴書や職務経歴書の書き方、面接でのアピールポイントなど、転職活動全般にわたるサポートを提供してくれます。未経験から法務事務を目指す場合でも、キャリアアドバイザーのアドバイスを受けることで、自分の強みや適性を最大限にアピールすることができます。
エージェントやキャリアアドバイザーを活用する際は、複数のエージェントに登録し、自分に合った担当者を見つけることが大切です。担当者との相性やサポート内容を比較し、信頼できるエージェントを選びましょう。
法務事務の志望動機とキャリアパス
法務事務の志望動機は、法律への興味や社会貢献意識、専門性の高さをアピールすると効果的です。キャリアアップも十分に可能であり、将来的には法務リーダーや専門職、士業へのステップアップも目指せます。ここでは、効果的な志望動機の書き方やキャリアアップの可能性、転職成功のポイントについて詳しく解説します。
効果的な志望動機の書き方
法務事務の志望動機を書く際は、まず「法律知識を活かして企業活動を支えたい」という思いを明確に伝えましょう。
たとえば、「学生時代に法律を学び、企業活動を法的にサポートする仕事に興味を持ちました」「社会のルールを守り、トラブルを未然に防ぐ仕事にやりがいを感じます」など、自分の経験や価値観に基づいた理由を述べると説得力が増します。
次に、「責任感や几帳面さ、学習意欲」を強調しましょう。法務事務は、正確性や継続的な学習が求められる職種です。「細かい作業や文書管理が得意で、責任感を持って業務に取り組めます」「法改正や新しい知識を積極的に学び、業務に活かしたいです」など、自分の強みを具体的にアピールしましょう。
さらに、「具体的な経験や資格取得への努力」を盛り込むと効果的です。「ビジネス実務法務検定3級を取得し、法律の基礎知識を身につけました」「前職で契約書の作成や管理を担当し、法的リスクを意識した業務経験があります」など、実績や努力をアピールすることで、採用担当者に好印象を与えることができます。
自身の強みや努力を具体的に示しながら、法務の仕事を通じて企業に貢献したいという姿勢を明確にすることが、効果的な志望動機につながります。
法務事務のキャリアアップの可能性
法務事務は、キャリアアップの可能性が広がる職種です。
まず、法務担当者として経験を積んだ後、法務リーダーやマネージャーに昇進する道があります。チームをまとめたり、後輩の指導・育成を担当したりすることで、マネジメントスキルを身につけることができます。
また、資格取得によるキャリアアップも目指せます。行政書士や司法書士、社会保険労務士などの国家資格を取得すれば、より高度な法務業務や独立開業も可能となります。資格取得を通じて専門性を高め、法務のプロフェッショナルとして活躍する道も開かれています。
そのため、経験や資格累積によって、多様なキャリアの形成が可能です。
転職成功のためのポイント
法務事務への転職を成功させるためには、いくつかのポイントがあります。
まず、「法務関連の資格取得や実務経験」をアピールしましょう。ビジネス実務法務検定や個人情報保護士などの資格を取得していれば、基礎知識があることを証明できます。
また、前職で契約書作成や文書管理、法的調査などの経験があれば、具体的な実績としてアピールしましょう。
次に、「法律知識や事務処理能力の証明」が重要です。履歴書や職務経歴書には、これまでに学んだ法律知識や事務処理スキル、パソコンスキルなどを具体的に記載しましょう。面接では、実際にどのような業務を担当し、どのように問題を解決したかをエピソードとして話すと効果的です。
また、「エージェントの活用による非公開求人へのアクセス」も転職成功のポイントです。法務事務の求人は一般公開されていないことも多いため、転職エージェントを活用して非公開求人に応募することが有利です。エージェントのサポートを受けながら、自分に合った求人を効率的に探しましょう。
法務事務の仕事のやりがいやきつさ
法務事務は社会的意義や専門性の高さがやりがいですが、責任の重さやプレッシャーも伴います。ここでは、法務事務のやりがいや仕事のきつさ、職場環境とサポート制度について詳しく解説します。
法務事務のやりがいとは?
法務事務のやりがいは、企業や社会の安全を法的側面から支えられる点にあります。契約書のチェックや社内規定の整備などを通じて、法的リスクを低減させることで、企業活動の安定や社会の安心につながっていると実感できるからです。
たとえば、契約書のリーガルチェックによりトラブルや損害を回避したり、規定整備によって働く人々の安心を守ったりと、自分の仕事が企業経営に大きな影響を与えていることを日々感じられます。
加えて、法律やコンプライアンスなど専門知識を高めながらキャリアを築ける点も魅力です。現場担当者や経営層、弁護士・行政機関とのやりとりを通じて、信頼される存在となることも、やりがいのひとつです。
このように、法務事務は専門性を活かしてキャリアを形成しながら、企業や社会に実質的な貢献ができる、非常に価値ある仕事です。
法務事務の仕事のきつさについて
一方で、法務事務の仕事には「細かい作業やミスが許されないプレッシャー」があります。契約書や法的文書の作成・チェックでは、細部にまで注意を払い、ミスや漏れを防ぐ必要があります。ミスが重大なトラブルにつながることもあるため、常に緊張感を持って業務に取り組む必要があります。
また、「法改正や新規業務への対応」も大きな負担となることがあります。法律は頻繁に改正されるため、常に最新の情報をキャッチアップし、業務に反映させる必要があります。新しい分野や業務にも柔軟に対応しなければならず、学習や対応に追われることもあります。
「繁忙期やトラブル発生時の業務負荷」も、法務事務のきつさの一つです。決算期や株主総会前、訴訟やトラブルが発生した際には、業務量が急増し、残業や休日出勤が発生することもあります。プレッシャーやストレスに強いメンタルが求められる場面も多いです。
職場環境とサポート制度
法務事務の職場環境は、チーム体制が整っていることが多いです。法務部門では、複数の担当者がチームで業務を分担し、互いにサポートし合いながら業務を進めます。
参照:多様性と変化で、自律的に成長する強い法務チームをつくる|NobishiroHomu
資格取得支援や外部セミナー参加など、自己啓発をサポートする制度も整っています。法務関連の資格取得に向けた講座や受験費用の補助、外部セミナーへの参加費用の補助など、スキルアップを後押しする制度が充実しています。
法務業務の一覧と特定業務の詳細
法務事務の担当範囲は多岐にわたり、専門分野ごとに異なる知識や対応力が求められます。ここでは、主要な法務業務の種類や特許関連業務、訴訟関連業務の流れと注意点について詳しく解説します。
主要な法務業務の種類
契約法務
契約書の作成やリーガルチェック、契約交渉のサポートを行います。契約内容に不備やリスクがないかを確認し、必要に応じて修正案を提示します。契約交渉では、相手方とのやり取りや調整をサポートし、合意形成を円滑に進めます。
組織法務
株主総会や取締役会の運営補助、議事録の作成、会社登記手続きなどを担当します。会社法や商業登記法に基づき、必要な手続きを正確に行うことが求められます。
コンプライアンス対応
企業の法令遵守やリスクマネジメントをサポートします。社内規定の整備や運用、社内研修の企画・実施などを通じて、従業員のコンプライアンス意識を高めます。
知的財産管理
特許や商標、著作権などの知的財産権の出願・管理を担当します。出願書類の作成や管理台帳の整備、弁理士や特許事務所との連絡調整などが主な業務です。
訴訟・紛争対応
訴訟書類の作成や証拠資料の収集、裁判所や弁護士との連絡調整などを担当します。訴訟や紛争が発生した際には、迅速かつ正確な対応が求められます。
企業法務における特許関連の業務
企業における特許関連業務は、自社の技術や製品の独自性を守り、競争力を維持するために欠かせない重要な法務分野です。法務事務が担当する主な業務は以下のとおりです。
・特許出願・権利化手続きの補助
発明内容を正確に把握し、特許出願書類の作成をサポートします。出願後は、特許庁から届く通知や拒絶理由に対応し、正式に権利化されるまでの手続きを支援します。
・特許管理台帳の作成・更新
取得済みの特許に関する情報を一覧表や管理システムで整理・管理します。主な管理項目は以下のとおりです。
- 出願日、登録日、有効期限
- 特許の対応国、登録状況
- ライセンス契約の有無と内容
- 維持費(年金)の支払期限
これらの情報を正確に管理し、手続き漏れや権利喪失のリスクを防ぎます。
・弁理士・特許事務所との連携
専門性が高い手続きでは、弁理士や外部の特許事務所と連携しながら対応します。技術部門や開発部門と情報を共有し、社内外の橋渡し役として円滑なコミュニケーションを図ることが求められます。
特許関連の法務業務は、法的知識に加えて技術への理解、細かな情報管理、そして関係者との調整力が必要とされる分野です。
訴訟関連業務の流れと注意点
訴訟関連業務は、企業や顧客が法的トラブルに巻き込まれた際に発生します。
まず、訴訟書類の作成・管理が必要です。訴状や答弁書、証拠資料など、裁判所に提出する書類を正確に作成し、期限内に提出します。書類のミスや遅延は、訴訟の進行に大きな影響を与えるため、慎重な対応が求められます。
裁判所や弁護士との連絡も重要な業務です。裁判所からの通知や指示に迅速に対応し、弁護士と連携して訴訟戦略を立てます。証拠書類の収集・整理も欠かせません。関係資料や証拠を漏れなく集め、分かりやすく整理して弁護士や裁判所に提出します。
期日管理や進捗確認も法務事務の役割です。訴訟の進行状況や次回期日を把握し、関係者に適切に連絡・共有します。訴訟関連業務では、ミスや遅延が重大なトラブルにつながるため、慎重かつ正確な対応が求められます。
法務事務に求められる実務経験
未経験からでもチャレンジ可能ですが、実務経験の積み方や知識の活かし方が重要です。ここでは、未経験から実務に入るためのステップや実務経験を積むための実践方法、知識を活かした経験積みの方法について詳しく解説します。
未経験から実務に入るためのステップ
未経験から法務事務にチャレンジする場合、まずは「派遣やパートでのサポート業務」からスタートするのがおすすめです。
派遣社員やパートタイムで法務部門や法律事務所の事務補助を経験し、実務の流れや基本的な業務を学びます。実際の現場で業務を経験することで、法務事務の仕事に必要なスキルや知識を身につけることができます。
次に、「法務関連資格の取得」を目指しましょう。ビジネス実務法務検定や個人情報保護士などの資格を取得することで、基礎知識があることをアピールできます。資格取得を通じて自信をつけ、実務にスムーズに入ることができます。
また、「法律事務所や法務部でのアルバイト経験」も有効です。学生時代や転職活動中にアルバイトとして法務事務を経験すれば、実務の基本を身につけることができます。アルバイト経験は、履歴書や職務経歴書でアピールポイントとなります。
実務経験を積むための実践方法
実務経験を積むためには、「OJT(オン・ザ・ジョブ・トレーニング)や先輩の指導による業務習得」が効果的です。入社後は、先輩社員の指導のもとで実務を学びながら、徐々に業務範囲を広げていきます。分からないことや疑問点があれば、積極的に質問し、知識やスキルを身につけましょう。
「契約書作成や管理業務の担当」も実務経験を積む方法の一つです。最初は簡単な契約書や社内文書の作成・管理から始め、徐々に難易度の高い業務にチャレンジしていきます。実際の業務を通じて、法律知識や文書作成スキルを磨くことができます。
「社内研修や外部セミナーへの参加」も実務経験を積むために有効です。法務関連の研修やセミナーに積極的に参加し、最新の知識や実務ノウハウを学びましょう。研修やセミナーで得た知識は、実務にすぐに活かすことができます。
出典:求められる法務能力と法務人材の確保・育成|公益財団法人日本都市センター
知識を活かした経験積みの方法
法務事務に必要な知識を活かして経験を積む方法もあります。
まず、「法務関連の自主学習や資格取得」を継続しましょう。独学で法律や契約、コンプライアンスの知識を深め、資格取得を目指すことで、実務に役立つ知識を身につけることができます。
「社内規定や契約書のチェック業務」も経験積みの方法です。実際の契約書や社内規定をチェックし、内容に不備やリスクがないかを確認します。チェック業務を通じて、法的リスクの見抜き方や文書管理のポイントを学ぶことができます。
「法改正情報の収集と社内共有」も重要な経験となります。最新の法改正情報を積極的に収集し、社内に分かりやすく共有することで、知識を実務に活かすことができます。社内勉強会やニュースレターの作成など、知識のアウトプットを通じて経験を積みましょう。
法務事務の将来性と業界動向
法務事務の役割は高度化・多様化しており、法務の転職市場等では「売り手市場」となっていることから今後も安定した需要が見込まれます。ここでは、法務事務の進化する役割や今後の業界トレンド、グローバルな視点について詳しく解説します。
法務事務の進化する役割
近年、法務事務の役割は大きく進化しています。
まず、「コンプライアンスやガバナンス強化への対応」が求められるようになりました。企業の不祥事や法令違反が社会問題となる中、法務事務は企業の法令遵守やリスクマネジメントを支える重要な役割を担っています。
社内規定の整備や社内研修の企画・実施など、従業員のコンプライアンス意識を高める取り組みが求められています。
「グローバル化に伴う国際法務のサポート」も重要な役割です。海外取引や海外拠点の増加に伴い、国際契約や外国法の知識が求められる場面が増えています。英語での契約書作成や海外の法律事務所との連携など、グローバルな視点での法務対応が必要となっています。
「IT・AI活用による業務効率化」も進んでいます。電子契約システムやドキュメント管理システム、AIによる契約書チェックなど、最新のITツールを活用した業務効率化が進んでいます。法務事務も、ITリテラシーやデジタルスキルが求められる時代となっています。
このように、法務事務は単なる文書管理や補助業務にとどまらず、経営や戦略に直結する重要なポジションに進化しつつあります。今後は、より高度な専門知識と対応力を備えた人材が求められていくでしょう。
今後の業界トレンド
法務業界では、「ESG(環境・社会・ガバナンス)対応の強化」が大きなトレンドとなっています。企業の社会的責任やガバナンス強化が求められる中、法務事務もESG対応に関わる業務が増えています。環境法や労働法、企業倫理など、幅広い知識が求められる時代となっています。
「デジタル契約や電子署名の普及」も進んでいます。コロナ禍をきっかけに、ペーパーレス化やリモートワークが進み、電子契約や電子署名の導入が加速しています。法務事務も、デジタルツールを活用した業務に対応できるスキルが求められています。
「多様な働き方への対応」も重要なトレンドです。リモートワークやフレックスタイム制、副業解禁など、働き方が多様化する中、法務事務も柔軟な働き方に対応できる体制が求められています。自宅やサテライトオフィスでの業務や、オンライン会議・電子契約など、デジタル時代の法務事務が求められています。
法務事務のグローバルな視点
グローバル化が進む現代において、法務事務にも「英語や外国法の知識」が求められる場面が増えています。海外取引や海外拠点との契約管理、国際訴訟や知的財産権対応など、グローバルな法務対応が必要となっています。英語での契約書作成や外国法の調査、海外の法律事務所との連携など、語学力や国際感覚が求められる時代です。
また、「海外拠点や取引先との契約管理」も重要な業務となっています。海外の法律や商習慣に対応し、適切な契約書を作成・管理する能力が求められます。国際訴訟や知的財産権対応など、グローバルな法務業務にチャレンジすることで、キャリアの幅を広げることができます。
よくある質問(FAQ)
Q1.法務事務の平均年収は?
A.一般企業の法務事務員の場合、約480万円とされています。また、時給としては一般労働者が約2500円、短時間労働者は約1500円となっております。
出典:企業法務担当|職業情報提供サイトjob tag|厚生労働省
Q2.就業条件はありますか?
A.特に学歴や資格は不要とされていますが、大学・大学院卒がほとんどです。専門分野として法律が圧倒的に多いですが、他文系や理系卒も就業可能です。
出典:企業法務担当|職業情報提供サイトjob tag|厚生労働省
Q3.企業法務事務・パラリーガル(弁護士補助職)は国家資格ですか?
A.国家資格ではありません。厚労省の分類では一般職員扱いで、試験制度もなく、学歴や年齢要件も特にありません。
出典:パラリーガル(弁護士補助職)|職業情報提供サイトjob tag|厚生労働省
Q4. パラリーガルと法務事務の違いは?
A.パラリーガルは弁護士補助業務に特化した法律事務員で、契約書ドラフト・裁判所提出書類の作成・法令調査などが主な業務です。一方、企業の法務事務は法務部門の一般職であり、対内的業務に重点があります。
出典:企業法務担当|職業情報提供サイトjob tag|厚生労働省
出典:パラリーガル(弁護士補助職)|職業情報提供サイトjob tag|厚生労働省
まとめ
法務事務は、企業や法律事務所で法律知識を活かし、契約書管理や法的文書作成など多岐にわたる業務を担う専門職です。
責任感や几帳面さ、学習意欲が求められ、資格取得や実務経験を積むことでキャリアアップも可能です。今後も法務事務の役割は進化し、安定した需要が続くと見込まれます。
未経験からでも挑戦できる道があり、専門性とやりがいを両立できる職種です。法務事務を目指す方は、自分の強みや適性を見極め、資格取得や実務経験を積みながら、長期的なキャリア形成を目指しましょう。
法務事務の世界は、社会の変化や技術革新に対応しながら、今後もますます重要性を増していくことでしょう。

監修者
横浜国立大学理工学部卒。
株式会社DYMに新卒一期生として2011年に入社し、WEBプロモーションなどのデジタルマーケティング領域で業務に従事し、その後新規事業立ち上げを経験。
2015年よりDYMの人事部へ異動し人事領域を統括、毎年多くの就活生や求職者との面接・面談を実施。
内定チャンネルなどの採用関連メディアへの出演や記事監修を通して人事・人材関連の情報を発信中。
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