SNMPとは?仕組み・MIB・Trap・バージョンの違いをわかりやすく解説

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SNMPとは?仕組み・MIB・Trap・バージョンの違いをわかりやすく解説

はじめに

「SNMPとは何か」「ネットワーク監視でなぜSNMPが使われるのか」と疑問に感じている方もいるでしょう。MIBやTrap、UDP、ポート番号などの専門用語が多く、仕組みを理解しにくいと感じる方も少なくありません。
この記事では、SNMPの役割や仕組み、SNMPv1・v2c・v3の違い、利用されるポート番号までを、RFCなどの一次情報をもとにわかりやすく解説します。資格試験の学習や実務にも役立つ知識を、基礎から順番に確認できます。

SNMPとは

SNMPとは

ネットワークを安定して運用するには、機器の状態を継続的に把握することが欠かせません。ここでは、SNMPの概要と、監視で利用される理由、実現できることを解説します。

SNMPの概要

SNMP(Simple Network Management Protocol)とは、ネットワーク機器やサーバーの状態を監視・管理するための通信プロトコルです。ルーターやスイッチ、プリンター、NAS(Network Attached Storage:ネットワーク接続型ストレージ)など、SNMPに対応した機器からCPU使用率や通信量、稼働状況といった情報を取得できます。

SNMPの仕様は、インターネット技術の標準化に関する文書であるRFCで定義されています。最初の仕様は1988年8月にRFC 1067として公開され、改訂を経て1990年5月のRFC 1157にまとめられました。現在、SNMPv1の仕様として参照されるのはRFC 1157です。

 

SNMPを構成する主な要素

要素

役割

SNMPマネージャー

ネットワーク機器を監視・管理する側のシステム

SNMPエージェント

各機器で情報を収集し、マネージャーへ送信する機能

MIB

管理対象となる情報を定義したデータベース

OID

MIB内の情報を識別するための番号

 

出典:RFC 1157:シンプルネットワーク管理プロトコル(SNMP)|RFCエディター

SNMPがネットワーク監視で利用される理由

ネットワーク環境では複数のベンダー製品が混在することが多く、機器ごとに異なる方法で管理すると運用担当者の負担が大きくなります。SNMPは標準化されたプロトコルのため、対応機器であれば同じ監視システムから情報を取得できます。異常発生時にSNMP Trapで自動通知できる点も、障害の早期発見につながる理由です。

 

SNMPが利用される主な理由

 

  • 異なるメーカーの機器を一元管理できる
  • ネットワーク機器の状態を継続的に監視できる
  • 障害発生時にSNMP Trapで自動通知できる
  • 運用担当者の負担を軽減できる
  • ネットワーク全体の安定稼働につながる

SNMPで実現できること

SNMPでは、CPU使用率やディスク容量、通信帯域の利用状況を継続的に取得し、しきい値を超えた際にアラートを通知する運用が可能です。取得したデータを蓄積すれば、機器の増設時期やネットワーク構成の見直しを検討する際の判断材料にもなります。

SNMPで取得・管理できる主な情報

 

監視項目

活用例

CPU使用率

高負荷の検知、性能監視

メモリ使用率

メモリ不足の予防

通信量(トラフィック)

帯域の利用状況や通信異常の確認

インターフェース状態

ポートの接続・切断や障害の把握

ディスク使用率

容量不足の予防

稼働状況(アップタイム)

機器の正常稼働時間の確認

SNMP Trap

障害や異常発生時の自動通知

SNMPの仕組み

SNMPは、機器の情報を効率的に収集・管理する仕組みを備えています。ここでは、主要な要素と通信の流れを解説します。

SNMPマネージャーとSNMPエージェントの役割

マネージャーは各機器のエージェントへ情報取得の要求を送り、エージェントは機器の情報を収集して応答します。異常が発生した際は、エージェントからマネージャーへSNMP Trapを送信して通知することも可能です。RFC 3411では、これらを実装した主体を「SNMPエンティティ」と呼び、メッセージの振り分けやセキュリティ処理を担うSNMPエンジンと、その上で動作するアプリケーションから構成されると定義しています。

SNMPマネージャーとSNMPエージェントの違い

 

項目

SNMPマネージャー

SNMPエージェント

役割

監視・管理を行う

情報を収集・送信する

設置場所

監視サーバー

ネットワーク機器

主な機能

情報取得・監視・アラート管理

機器情報の取得・応答・Trap送信

通信

エージェントへ要求を送る

マネージャーへ応答・通知する

 

出典:RFC 3411:シンプルネットワーク管理プロトコル(SNMP)管理フレームワークを記述するためのアーキテクチャ|RFCエディター

MIB(Management Information Base)とは

MIB(Management Information Base)とは、SNMPで管理する情報を定義したデータベースです。管理情報が階層構造で整理されており、マネージャーはこの定義を参照して必要なデータを取得します。

TCP/IPネットワークの標準MIBは、RFC 1213(MIB-II)として標準化されています。MIB-IIではsystem、interfaces、at、ip、icmp、tcp、udp、egp、transmission、snmpの10グループが定義されています。メーカー独自のMIBが用意されている場合もあり、製品固有の情報を監視できる点も特徴です。

 

MIB-IIで定義されている主なグループ

グループ

主な内容

system

機器名や設置場所、稼働時間などの基本情報

interfaces

ネットワークインターフェースの状態と統計

ip

IP通信に関する統計とルーティング情報

icmp

ICMPメッセージの統計

tcp

TCPコネクションに関する情報

udp

UDP通信に関する統計

snmp

SNMP自体の通信統計

 

出典:RFC 1213:TCP/IPベースのインターネットのネットワーク管理のための管理情報ベース:MIB-II|RFCエディター

OIDとは

OID(Object Identifier:オブジェクト識別子)とは、MIB内の各情報を識別するために割り当てられた番号です。マネージャーは取得したい情報のOIDを指定して要求を送り、その値を受け取ります。OIDはドットで区切られたツリー構造を持ち、標準MIBでは共通の体系が用いられます。

 

OIDの特徴 

項目

内容

役割

MIB内の情報を識別する番号

構造

階層構造(ツリー形式)

用途

取得したい情報を指定する

利点

異なるメーカーでも共通の仕組みで利用できる

SNMPのオペレーション(PDU)の種類

SNMPでは、PDU(Protocol Data Unit:プロトコルデータユニット)という単位でメッセージをやり取りします。RFC 1157で定義されたSNMPv1のPDUは、GetRequest-PDU、GetNextRequest-PDU、GetResponse-PDU、SetRequest-PDU、Trap-PDUの5種類です。

SNMPv2以降のプロトコル操作を定めたRFC 3416では、GetRequest-PDU、GetNextRequest-PDU、SetRequest-PDUに加え、GetBulkRequest-PDU、Response-PDU、InformRequest-PDU、SNMPv2-Trap-PDU、Report-PDUの計8種類が規定されています。GetBulkRequestとInformRequestはSNMPv2(およびSNMPv2c)で追加され、SNMPv1では利用できません。まとめて情報を取得する操作はGetBulkRequestが正式な名称です。

 

主なオペレーションと役割 

オペレーション

役割

利用できるバージョン

GetRequest

指定したOIDの値を取得する

v1・v2c・v3

GetNextRequest

指定したOIDの次にあたるOIDの値を取得する

v1・v2c・v3

GetBulkRequest

複数のOIDの値をまとめて取得する

SNMPv2c・v3

SetRequest

指定したOIDの値を設定・変更する

v1・v2c・v3

Response

要求に対して値やエラー情報を返す

v1・v2c・v3

Trap

エージェントから自発的に通知を送る

v1・v2c・v3

InformRequest

受信確認を伴う通知を送る

v2c・v3

 

出典:RFC 3416:シンプルネットワーク管理プロトコル(SNMP)のプロトコル操作バージョン2|RFCエディター

 

SNMP通信の流れ

通常はマネージャーが定期的に機器へ問い合わせを行い、結果を受け取って監視します。障害時にはエージェントがSNMP Trapを自発的に送信します。定期監視とイベント通知を組み合わせることで、状態を効率的に把握できます。

SNMP通信の基本的な流れ

 

  1. SNMPマネージャーがSNMPエージェントへ情報取得を要求する
  2. SNMPエージェントが機器の情報を取得する
  3. SNMPエージェントがマネージャーへ情報を返す
  4. マネージャーが監視結果を表示・保存する
  5. 異常発生時はエージェントがSNMP Trapを送信し、管理者へ通知する

SNMPの通信方式

SNMPには、定期的に情報を取得するPollingと、異常発生時に通知するTrapがあります。実際の運用では両者を組み合わせるのが一般的です。ここでは、Polling・Trap・InformRequestの違いを解説します。

Pollingとは

Pollingとは、マネージャーが一定間隔でエージェントへ問い合わせ、機器の状態を取得する方式です。継続的にデータを蓄積できるため、性能低下の兆候にも気づきやすくなります。一方で監視対象が多い環境では通信量が増え、負荷が高くなる場合があります。

 

Pollingの特徴

項目

内容

通信方式

マネージャーが定期的に情報を取得する

主な用途

状態監視・性能監視

利点

継続的なデータ収集が可能

留意点

通信量や監視負荷が増えることがある

Trapとは

Trapとは、エージェントが異常を検知した際にマネージャーへ自発的に通知を送る方式です。次回の問い合わせを待たずに通知でき、障害を早く把握しやすくなります。ただし、SNMPv1のTrap-PDUとSNMPv2以降のSNMPv2-Trap-PDUは、いずれも受信側からの確認応答を伴わないため、通信障害時に通知が届かない可能性があります。

Trapで通知される主なイベント

 

  • 機器の故障
  • ポートのリンクダウン
  • 電源異常
  • CPUやメモリの高負荷
  • 温度異常
  • インターフェース障害

InformRequestとの違い

InformRequestは、SNMPv2で追加された通知方式です。Trapは通知を送るだけですが、InformRequestは受信側からResponseを受け取ります。応答が確認できない場合は再送できるため、確実性が求められる環境に適しています。ただし通信回数が増えることから、重要度に応じて使い分ける運用が現実的です。

 

TrapとInformRequestの違い

 

項目

Trap

InformRequest

受信確認

なし

あり(Responseを受信)

再送信

不可

可能

確実性

低い

高い

通信負荷

小さい

Trapよりやや大きい

対応バージョン

v1・v2c・v3

v2c・v3

 

出典:RFC 3416:シンプルネットワーク管理プロトコル(SNMP)のプロトコル操作バージョン2|RFCエディター

SNMPのバージョン

SNMPのバージョン

SNMPには複数のバージョンがあり、機能とセキュリティが異なります。ここでは、SNMPv1・v2c・v3の特徴と、SNMPv3が推奨される理由を解説します。

SNMPv1の特徴

SNMPv1は、1988年8月にRFC 1067として公開され、改訂を経てRFC 1157(1990年5月)にまとめられた最初のSNMPです。構造がシンプルで導入しやすく、多くの機器で採用されました。

一方、認証は「コミュニティ」と呼ばれる文字列に依存しており、RFC 1157自体が簡易的な認証(trivial authentication)を想定した仕様であると記載しています。通信内容も暗号化されないため、認証情報はネットワーク上を平文で流れます。なお、RFC 1157は現在Historic(廃止)に分類されています。

 

SNMPv1の特徴 

項目

内容

主な仕様書

RFC 1067(1988年8月)/RFC 1157(1990年5月)

認証方式

コミュニティ名

暗号化

なし

利点

シンプルで導入しやすい

留意点

認証情報が平文で流れる

 

出典:RFC 1157:シンプルネットワーク管理プロトコル(SNMP)|RFCエディター

SNMPv2cの特徴

SNMPv2cは、コミュニティによる認証の枠組みを維持したままSNMPv2の機能を利用するバージョンで、RFC 1901「Introduction to Community-based SNMPv2」で規定されています。RFC 1901の位置づけはExperimental(実験的)であり、正式なインターネット標準ではありません。

機能面では、GetBulkRequestの追加により効率的に多数の情報を取得できます。またSMIv2(RFC 2578)でCounter64が定義され、上限が2の64乗から1を引いた値までのカウンタを扱えます。一方、認証はSNMPv1と同じコミュニティ名で、暗号化には対応していません。

SNMPv2cの主な特徴

 

  • GetBulkRequestによりSNMPv1より効率的な情報取得が可能
  • SMIv2でCounter64(64ビットカウンタ)が定義された
  • エラーコードが拡張され、状況を判別しやすくなった
  • 認証はコミュニティ名のみ
  • 通信の暗号化には非対応

 

出典:RFC 1901:コミュニティベースのSNMPv2入門|RFCエディター

SNMPv3の特徴

SNMPv3は、RFC 3410からRFC 3418までの一連の文書で規定されており、これらはインターネット標準であるSTD 62としてまとめられています。利用者ごとの認証に加え、通信内容の暗号化や、データが改ざんされていないかを検証する仕組みを備えています。

RFC 3410は、SNMPv1およびSNMPv2cのメッセージ形式について「平文のコミュニティ文字列に基づく簡易的な認証しか提供せず、本質的に安全ではない」と明記しています。

STD 62を構成する主なRFC

 

RFC番号

内容

RFC 3411

管理フレームワークのアーキテクチャ

RFC 3412

メッセージ処理とディスパッチ

RFC 3413

SNMPアプリケーション

RFC 3414

ユーザーベースセキュリティモデル(USM)

RFC 3415

ビューベースアクセス制御モデル(VACM)

RFC 3416

プロトコル操作

RFC 3417

トランスポートマッピング

RFC 3418

SNMPのためのMIB

 

出典:RFC 3410:インターネット標準管理フレームワークの概要と適用性に関する記述|RFCエディター

SNMPv3のセキュリティモデル(USMとVACM)

SNMPv3のセキュリティは、主に2つのモデルで構成されます。1つはRFC 3414のUSM(User-based Security Model:ユーザーベースセキュリティモデル)で、メッセージの認証と暗号化を担います。USMでは認証にHMAC-MD5-96とHMAC-SHA-96、暗号化にCBC-DESが規定されています。より強度の高いCFB128-AES-128は、RFC 3826で追加されました。

もう1つはRFC 3415のVACM(View-based Access Control Model:ビューベースアクセス制御モデル)で、グループ、MIBビュー、アクセス権を組み合わせ、どのユーザーがどの管理情報を読み書きできるかを制御します。

 

USMのセキュリティレベル

 

セキュリティレベル

認証

暗号化

noAuthNoPriv

なし

なし

authNoPriv

あり

なし

authPriv

あり

あり

 

出典:RFC 3414:シンプルネットワーク管理プロトコル(SNMPv3)バージョン3のユーザーベースセキュリティモデル(USM)|RFCエディター

セキュリティ面から見るSNMPv3が推奨される理由

SNMPv1やSNMPv2cではコミュニティ名が平文で送信されるため、通信を傍受されると認証情報や監視データが第三者に渡る可能性があります。SNMPv3ではUSMによる認証と暗号化、VACMによるアクセス制御を組み合わせられます。新たに監視環境を構築する場合は、機器や監視ツールの対応状況を確認したうえでSNMPv3の採用を検討するとよいでしょう。

SNMPv1・v2c・v3の比較

 

項目

SNMPv1

SNMPv2c

SNMPv3

主な仕様書

RFC 1157

RFC 1901

RFC 3410〜3418(STD 62)

認証

コミュニティ名

コミュニティ名

ユーザー認証(USM)

暗号化

なし

なし

あり(CBC-DES/AESなど)

完全性の検証

なし

なし

あり

アクセス制御

限定的

限定的

VACMで細かく設定可能

GetBulkRequest

非対応

対応

対応

SNMPで使用されるプロトコルとポート番号

SNMPは、機器を効率よく監視するためにUDPを利用します。ここでは、UDPが採用される理由とポート161・162の使い分けを解説します。

SNMPがUDPを利用する理由

UDP(User Datagram Protocol)は通信前にコネクションを確立する必要がなく、処理の負担を抑えやすいことが特徴です。SNMPは多数の機器へ定期的に問い合わせるため、通信効率が重視されます。TCPは信頼性が高い一方で接続確立や再送制御の処理が必要になり、機器への負担が増えます。

Pollingでは次回の問い合わせで情報を取り直せるため、UDPで一部のパケットが失われても監視を継続できます。確実性が求められる通知には、受信確認を伴うInformRequestを利用できます。

SNMPでUDPが採用される主な理由

 

  • 接続確立が不要で通信処理が軽い
  • ネットワーク機器への負荷を抑えられる
  • 多数の機器を効率よく監視できる
  • 定期監視(Polling)との相性が良い
  • 通信オーバーヘッドが小さい

ポート161とポート162の違い

RFC 3417では、SNMPのトランスポートマッピングとしてUDP over IPv4が定義されており、同文書では、要求を受け付けるコマンドレスポンダ(SNMPエージェント)はUDPポート161で待ち受け、通知を受け取るノーティフィケーションレシーバ(監視サーバー側)はUDPポート162で待ち受けるよう推奨されています。

ポート161はエージェント側が(宛先ポートとして)要求を受け取るポート、ポート162はマネージャー側が(宛先ポートとして)通知を受け取るポートです。どちらも待ち受け側の番号である点を押さえておくと、ファイアウォールの通信許可を設計する際に迷いにくくなります。

ポート161と162の違い

 

ポート番号

待ち受ける側

主な通信

UDP 161

SNMPエージェント(監視対象機器)

GetRequest・GetNextRequest・GetBulkRequest・SetRequest

UDP 162

通知受信側(監視サーバーなど)

Trap・InformRequest

 

出典:RFC 3417:シンプルネットワーク管理プロトコル(SNMP)のトランスポートマッピング|RFCエディター

SNMPと他のネットワーク技術の違い

ネットワーク運用では、SNMP以外にもPingやICMP、Syslogが組み合わせて使われます。ここでは、それぞれとの役割の違いを整理します。

Pingとの違い

Pingは、通信相手とのIPネットワーク上の疎通を確かめるコマンドで、ICMPパケットを送信して応答の有無や応答時間を確認します。Pingは疎通確認を、SNMPは状態監視・管理を目的とした技術であり、役割が異なります。

SNMPとPingの違い

 

項目

SNMP

Ping

主な目的

機器の監視・管理

通信可否の確認

取得できる情報

CPU・メモリ・通信量など

応答の有無・応答時間

用途

運用監視・障害分析

接続確認・疎通確認

ICMPとの違い

ICMP(Internet Control Message Protocol)は、IP通信に関するエラーや制御メッセージを通知するプロトコルで、PingもICMPを利用しています。ICMPはIP通信の診断に用いられ、SNMPは機器の運用情報を取得するために用いられます。

SNMPとICMPの違い

 

  • SNMP:ネットワーク機器の監視・管理を行う
  • ICMP:IP通信のエラー通知や疎通確認を行う
  • SNMPは機器の詳細な運用情報を取得できる
  • ICMPは通信状況の確認に利用される

Syslogとの違い

Syslogは、機器やサーバーが出力するログを収集・保存して履歴を記録する仕組みです。Syslogがログを受動的に記録するのに対し、SNMPは状態を能動的に取得するという違いがあります。実際の運用では、両者を組み合わせるケースが一般的です。

SNMPとSyslogの違い

 

項目

SNMP

Syslog

主な役割

状態監視・性能監視

ログの記録・収集

取得する情報

現在の稼働状況

イベントや障害履歴

主な用途

障害の早期発見・リソース計画

原因調査・監査

SNMPの活用シーン

SNMPは、ネットワーク機器だけでなくサーバーや周辺機器の監視にも使われます。ここでは、代表的な活用シーンを紹介します。

監視対象となる機器と主な監視項目

ルーターやスイッチ、ファイアウォールにおいて、通信量やポートの状態を定期的に取得することは、通信障害や帯域不足の把握につながります。サーバーではCPU使用率やディスク容量を蓄積・分析することで、リソース不足を事前に確認でき、計画的な増強の検討にも役立ちます。プリンターやUPSなどの周辺機器まで含めて状態を把握できる点も、SNMPを利用する利点の1つです。

SNMPで監視できる主な機器

 

機器

主な監視項目

ルーター

通信量・CPU使用率・インターフェース状態

スイッチ

ポート状態・通信量・エラー数

ファイアウォール

稼働状況・CPU使用率・通信負荷

無線LANアクセスポイント

接続台数・通信状況・稼働状態

サーバー

CPU・メモリ・ディスク使用率・稼働時間

プリンター

トナー残量・用紙残量・印刷エラー

UPS(無停電電源装置)

バッテリー残量・電源状態・停電通知

SNMP導入時の注意点

SNMP導入時の注意点

SNMPを安全に運用するには、いくつかの注意点があります。ここでは、コミュニティ名の管理、古いバージョンのリスク、外部からの悪用対策、SNMPv3への移行を解説します。

コミュニティ名の管理

SNMPv1やSNMPv2cでは、コミュニティ名でアクセスを制御します。「public」「private」といった初期設定のまま利用すると、不正アクセスのリスクが高まります。読み取り専用(Read Only)と読み書き可能(Read Write)の権限を適切に分け、必要最小限のアクセス権にとどめることも重要です。

コミュニティ名を安全に管理するポイント

 

  • 初期設定の「public」「private」は使用しない
  • 推測されにくい文字列を設定する
  • Read Onlyを基本とし、Read Writeは必要最小限にする
  • アクセス元IPアドレスを制限する
  • 運用ルールを定め、必要に応じて変更する

SNMPv1・v2c利用時のセキュリティリスク

前述のとおり、SNMPv1およびSNMPv2cは通信内容が暗号化されません。通信を傍受されるとコミュニティ名や取得した情報が第三者に渡る可能性があります。信頼できないネットワークを経由するSNMP通信は避けることが望ましいでしょう。

SNMPv1・v2cの主なリスク

 

リスク

内容

通信の傍受

コミュニティ名や監視データが第三者に渡る可能性がある

不正アクセス

第三者が機器情報を取得する恐れがある

設定変更

Read Write権限が悪用される可能性がある

暗号化なし

通信内容が保護されない

SNMPを悪用したリフレクション攻撃への対策

SNMPはUDPを利用するため、送信元IPアドレスを偽装したパケットを受け付けやすい性質があります。この性質を悪用し、インターネットから到達できるSNMP機器へ問い合わせを送り、その応答を攻撃対象に集中させるリフレクション攻撃(DRDoS攻撃)の踏み台にされる事例が報告されています。

情報通信研究機構(NICT)の「NICTER観測レポート2025」によると、2025年に観測されたDRDoS攻撃は全世界で約8,285万件、日本国内を標的としたものは約90万件でした。同レポートでは、161/UDP(SNMP)を悪用した攻撃が約25万7,000件報告されています。自社の機器が踏み台にならないよう、インターネットからSNMPへ到達できない構成にすることが重要です。

リフレクション攻撃への主な対策

 

  • インターネット側からUDP 161への通信を遮断する
  • SNMPへのアクセス元を監視サーバーのIPアドレスに限定する
  • SNMPを利用しない機器では機能を無効化する
  • 認証と暗号化に対応したSNMPv3を利用する
  • 公開範囲を定期的に見直し、意図しない公開がないか確認する

 

出典:NICTER観測レポート2025の公開|2026年|NICT-情報通信研究機構

SNMPv3への移行ポイント

移行の際は、対象機器や監視ツールがSNMPv3に対応しているかを事前に確認します。あわせて、USMのユーザー名や認証・暗号化プロトコルの設定、VACMによるアクセス権の設計も必要です。既存環境ではSNMPv1やSNMPv2cと併用しながら段階的に移行するケースも多く見られます。

SNMPv3へ移行する際のチェックポイント

 

チェック項目

確認内容

機器の対応状況

SNMPv3に対応しているか

監視ツール

SNMPv3で監視できるか

認証設定

USMのユーザーと認証プロトコルを設定する

暗号化設定

暗号化プロトコルとセキュリティレベルを決める

アクセス制御

VACMで参照可能な範囲を設計する

動作確認

移行後に監視・通知が正常に行われるか確認する

SNMPの設定・確認方法

SNMPを利用するには、監視対象機器で機能を有効化し、通信を確認する必要があります。ここでは、基本的な設定手順と代表的なコマンドを解説します。

SNMPを有効化する流れ

まず監視対象機器でSNMP機能を有効にし、利用するバージョンを選び、コミュニティ名(v1・v2c)またはUSMのユーザー認証情報(v3)を設定します。機器ごとに設定画面は異なりますが、有効化・バージョン選択・認証設定・アクセス制限・接続確認という流れは共通しています。

SNMP設定の基本的な流れ

 

  1. SNMP機能を有効にする
  2. SNMPバージョン(v1・v2c・v3)を選択する
  3. コミュニティ名または認証情報を設定する
  4. アクセスを許可するIPアドレスを設定する
  5. 監視ツールから接続確認を行う

snmpwalkコマンドで情報を取得する方法

snmpwalkは、SNMP対応機器からMIB情報をまとめて取得する代表的なコマンドです。指定したOIDを起点に、その配下の情報をGetNextRequestで順番にたどりながら取得します。取得できる情報の確認や動作確認、トラブルシューティングで活用されます。実行時は、対象機器のアクセス制限に接続元が含まれているかもあわせて確認しましょう。

snmpwalkの使用例

 

コマンド例

内容

snmpwalk -v 2c -c コミュニティ名 対象IPアドレス system

システム情報を取得する

snmpwalk -v 2c -c コミュニティ名 対象IPアドレス interfaces

インターフェース情報を取得する

代表的なSNMPコマンド

用途に応じてコマンドを使い分けることで、状態確認や設定変更、トラブル調査を効率的に進められます。特にsnmpget、snmpwalk、snmpsetは利用頻度が高く、設定を変更するsnmpsetは機器の動作に影響するため、実行前に対象と値をよく確認しましょう。

代表的なSNMPコマンド一覧

 

コマンド

主な用途

snmpget

指定したOIDの情報を1件取得する

snmpwalk

指定したOID配下の情報を一覧取得する

snmpset

SNMP対応機器の設定を変更する

snmptrap

SNMP Trapを送信する

snmptranslate

OIDとMIB名を相互変換する

まとめ

SNMPは、ネットワーク機器やサーバーの状態を監視・管理するための通信プロトコルです。SNMPマネージャーとSNMPエージェントが通信し、MIBで定義された情報をOIDで指定してやり取りすることで、異なるメーカーの機器を共通の方法で監視できます。

通信方式には、定期的に情報を取得するPollingと、異常発生時に通知するTrapがあり、受信確認を伴うInformRequestも利用できます。ポート番号は、エージェントが待ち受けるUDP 161と、通知受信側が待ち受けるUDP 162を使い分けます。

バージョンはSNMPv1、SNMPv2c、SNMPv3があり、v1とv2cはコミュニティ名が平文で流れるという課題を抱えています。SNMPv3ではUSMによる認証と暗号化、VACMによるアクセス制御が利用できます。

導入時は、コミュニティ名の初期値を使わないこと、アクセス元を限定すること、インターネットから到達できない構成にすることを押さえておきましょう。仕組みと注意点を理解して運用すれば、SNMPは安定したネットワーク運用を支える有効な手段になります。

SNMPに関するよくある質問

SNMPに関するよくある質問

Q1.SNMPとは何ですか?

A1.SNMPとは、ネットワーク機器やサーバーの状態を監視・管理するための通信プロトコルです。CPU使用率や通信量などの情報を取得し、複数の機器をまとめて監視できます。障害発生時には管理者へ通知を送る機能も備えています。

Q2.SNMPとPingの違いは何ですか?

A2.Pingは、ネットワーク機器へ通信できるかを確認するコマンドです。一方、SNMPは通信の可否だけでなく、CPU使用率や通信量といった詳細な情報を取得できます。Pingは疎通確認を、SNMPは機器の状態監視・管理を目的とする点が異なります。

Q3.SNMPのTrapとは何ですか?

A3.SNMP Trapとは、SNMPエージェントが障害や異常を検知した際に、マネージャーへ自発的に通知を送る機能です。次回の問い合わせを待たずに通知できます。ただし確認応答を伴わないため、確実性を高めたい場合はInformRequestの利用を検討してください。

Q4.MIBとは何ですか?

A4.MIB(Management Information Base)とは、SNMPで管理する情報を定義したデータベースです。監視項目が階層構造で整理され、それぞれにOIDが割り当てられています。標準MIBはRFC 1213(MIB-II)として標準化されており、systemやinterfacesなど10のグループが定義されています。

Q5.SNMPはどのポート番号を使用しますか?

A5.UDPポート161とUDPポート162を使用します。ポート161はSNMPエージェントが情報取得や設定変更の要求を受け取るポート、ポート162は監視サーバー側がTrapやInformRequestを受け取るポートです。

Q6.SNMPv3が推奨される理由は何ですか?

A6.SNMPv3は、USMによる認証・暗号化と、VACMによるアクセス制御を利用できるためです。SNMPv1およびSNMPv2cはコミュニティ名が平文で送信されるため、通信を傍受された場合のリスクがあります。新規に導入する場合は、機器と監視ツールの対応状況を確認したうえでSNMPv3を検討するとよいでしょう。

Q7.SNMPの知識は資格試験にも役立ちますか?

A7.ネットワーク管理は、情報処理技術者試験で扱われる分野の1つです。試験区分ごとの出題範囲や求められる知識水準は、独立行政法人情報処理推進機構(IPA)が公開する試験要綱・シラバスで確認できます。出題範囲や試験制度は改訂されることがあるため、学習前に最新の資料を確認してください。

 

出典:試験要綱・シラバス|試験情報|IPA 独立行政法人 情報処理推進機構

株式会社DYM 人事部長 熊谷直紀

監修者

株式会社DYM 人事部長 熊谷直紀

横浜国立大学理工学部卒。
株式会社DYMに新卒一期生として2011年に入社し、WEBプロモーションなどのデジタルマーケティング領域で業務に従事し、その後新規事業立ち上げを経験。
2015年よりDYMの人事部へ異動し人事領域を統括、毎年多くの就活生や求職者との面接・面談を実施。
内定チャンネルなどの採用関連メディアへの出演や記事監修を通して人事・人材関連の情報を発信中。

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