人事事務の年収を上げる方法|転職・スキルアップのコツ
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はじめに
人事事務は、企業の中核を担う管理部門のひとつとして安定した収入が期待できる職種です。本記事では、厚生労働省など公的データをもとに、人事事務の平均年収や年代別の年収推移、他の事務職との比較、さらに企業規模や役職による年収の違いについて詳しく解説します。人事事務のキャリアを考えている方や、転職・年収アップを目指す方に役立つ最新情報をお届けします。
人事事務の年収相場はどれくらい?
人事事務の年収相場についてまとめました。
最新データから見る人事事務の平均年収
人事事務の年収相場は、厚生労働省によると全国平均で513.5万円程度です。
日本の正社員平均年収は約530.3万円なので、人事事務の平均年収の方が少ないですが、安定した収入が期待できる職種です。
年代別に見ると、20代前半で339.4万円、20代後半で423.3万円、30代前半で478.3万円、30代後半で512.6万円、40代前半で543.6万円、40代後半で543.8万円、50代前半で566.6万円、50代後半で624.1万円と、
年齢や経験に応じて段階的に年収が上昇していきます。
特に30代後半から40代にかけては、マネジメントポジションへの昇格や専門性の向上により、収入が大きく伸びる傾向がみられます。
参照:人事の平均年収はいくら?年収アップの方法を徹底解説!|株式会社Career-x
他の事務職との比較
人事事務以外の他の事務職と比較すると、人事事務の年収は高い傾向にあります。事務職全体の平均年収は343万円で、男性406万円、女性327万円というデータが出ています。
また、総務職の平均年収は約396万円とされており、いずれも人事事務の平均年収より低い水準です。
さらに、企業規模や担当業務の範囲、役職によっても年収には大きな幅があります。大手企業や管理職、専門性の高いポジションでは600万円以上、場合によっては700万円を超えるケースも見られます。
参照:人事の平均年収はどのくらい? 年収を上げる3つの方法も解説|日経転職版
年代別・性別でみる人事事務の年収推移
人事事務の年収の推移を、年代・性別の部分から比較しました。
20代~50代の年収目安
年代別に見ると、20代前半で339.4万円、20代後半で423.3万円、30代前半で478.3万円、30代後半で512.6万円、40代前半で543.6万円、40代後半で543.8万円、50代前半で566.6万円、50代後半で624.1万円と、
年齢や経験に応じて段階的に年収が上昇していきます。
特に30代後半から40代にかけては、マネジメントポジションへの昇格や専門性の向上により、収入が大きく伸びる傾向がみられます。
係長や課長といった管理職に昇進することで、給与が大きく伸びやすいのが特徴です。また、大企業では30代以降で年収500万円以上、中小企業でも30代で500万円前後が目安となります。
初年度(新卒や未経験)の場合は350万円〜400万円が一般的ですが、経験やスキルを積むことで大幅な年収アップが期待できます。
男女別の年収差
人事事務における男女別の年収差も明らかになっています。
令和6年(2024年)の統計では、正社員全体の平均年収は男性が約569万円、女性が約316万円で、約250万円の差が見られます。
人事職に限っても、同様に男性の方が高い傾向が続いています。たとえば、30代全体では男性が494万円、女性が383万円と、100万円以上の開きが見られます。
この差は、管理職や専門職への登用が男性に偏る傾向や、女性のキャリア継続の難しさなど、さまざまな社会的要因が影響していると考えられます。
ただし、近年はダイバーシティ推進や女性活躍の機運も高まっており、今後は男女差が縮小する可能性もあります。
雇用形態・企業規模による年収の違い
人事事務職における年収は、雇用形態や企業規模によっても違いがあります。
正社員・派遣・契約社員の年収比較
正社員の平均年収は約348万円で、月収換算で約29万円です。これに対し、非正規雇用(派遣・契約社員含む)の平均年収は233万円、月収は約19万円と、正社員と比べて大きな差があります。
派遣社員の場合、厚生労働省の調査によれば一般的な年収は396万円程度ですが、これは都市部や業種によって変動します。
契約社員の平均年収は東京都内で約348万円が相場で、「300万円以上400万円未満」が最も多い層です。
また、契約社員や派遣社員は時給制が多く、働く地域や時間によっても総額が大きく変わります。
正社員はボーナスや昇給、退職金、各種手当など福利厚生が充実しており、長期的な収入の安定やキャリアアップの機会が多いのが特徴です。
一方、派遣社員や契約社員は、正社員に比べて福利厚生や昇給の機会が限られ、雇用期間も短期であることが多いですが、希望する条件で働きやすい、専門性を活かしやすいというメリットもあります。
30代以降になると、正社員と非正規雇用の年収格差はさらに広がる傾向があり、特にボーナスや昇給制度の有無が生涯年収に大きく影響します。
大手企業と中小企業の違い
企業規模による年収の違いも顕著です。大手企業は中小企業に比べて給与水準が高く、福利厚生も手厚い傾向があります。
正社員の場合、大手企業では昇給やボーナス、退職金制度が充実しており、長期的な収入の伸びが期待できます。
一方、中小企業は初任給や基本給が大手より低めに設定されていることが多く、賞与や昇給の頻度・金額も抑えられる傾向です。
派遣社員や契約社員の場合も、大手企業は時給や待遇が比較的高めに設定されることが多いですが、雇用の安定性やキャリアパスは正社員ほどではありません。
一方、中小企業では、時給や年収が低めになることが多く、特に地方ではその傾向が強まります。
人事事務職の年収は「雇用形態」と「企業規模」の両方で大きく差が出ます。
安定した収入やキャリアアップを重視するなら正社員・大手企業、柔軟な働き方や専門性を活かしたい場合は派遣・契約社員や中小企業も選択肢となります。
自身のライフスタイルやキャリアプランに合わせて選ぶことが重要です。
人事事務の主な仕事内容と求められるスキル
人事事務の主な仕事内容とスキルについてまとめました。
日常業務の具体例
人事事務は、企業の人事部門を支える重要な職種であり、その業務範囲は多岐にわたります。主な業務は大きく「人事」と「労務」に分けられます。
人事領域では、採用計画の立案や求人情報の作成、応募者対応、面接日程の調整、採用・不採用通知の作成・送付、新入社員の入社手続き、雇用契約書や社会保険・労働保険の加入手続きなどが含まれます。
労務領域では、勤怠管理や給与計算、賞与・年末調整の対応、社会保険料や税金の納付、退職手続き、社員情報の管理(住所変更や結婚などの情報更新)、福利厚生の手続きなどが中心です。
また、社員研修や教育プログラムの資料作成や運営サポート、社内制度や環境整備、社内外からの問い合わせ対応、来客応対、備品管理、郵便物の仕分けなど、一般事務的な業務も担当します。
これらの業務を通じて、従業員が安心して働ける環境づくりや、組織の成長を支える役割を担っています。
年収アップにつながるスキル・資格
人事事務で年収アップを目指すには、業務の幅を広げるためのスキルや資格の取得が有効です。
まず、社会保険労務士などの国家資格は、労務管理や法令対応の専門性を高めるため、評価されやすい資格です。
また、給与計算や社会保険手続きに関する実務経験が豊富であることも、転職や昇進時の大きなアピールポイントになります。
さらに、ExcelやWordなどのPCスキル、データ分析力、コミュニケーション能力、調整力、情報管理能力も重要です。
最近では、採用管理システムや人事データベースなどITツールの活用スキルも求められています。英語力があるとグローバル企業や外資系企業での活躍も期待でき、年収アップにつながるケースもあります。
人事企画や人事制度設計、教育研修の企画運営など、より専門性の高い業務にチャレンジすることで、キャリアアップや年収増加のチャンスが広がります。
従業員の成長や組織の発展に貢献できる人材として認められることが、長期的なキャリア形成と収入向上の鍵となります。
人事事務で年収を上げる方法
人事事務職のキャリアアップについてまとめました。
キャリアアップ・昇進のポイント
人事事務で年収を上げるためには、まず社内での昇進や昇格を目指すことが基本です。特に管理職やリーダーポジションに就くことで、責任範囲が広がり、年収も大きく上昇します。
日常業務だけでなく、人材育成や組織開発、経営戦略に関わる業務に積極的に取り組み、チームを率いるマネジメント能力を磨くことが重要です。
また、HRテックの活用やデータ分析力を高め、戦略的な人事施策を立案・実行できるスキルも評価されやすくなっています。
さらに、労務管理やコンプライアンス、労働法などの専門分野に強みを持つことで、社内での存在価値が高まり、年収アップにつながります。
社会保険労務士やキャリアコンサルタントなどの資格取得も、専門知識を客観的に証明できるため、昇進や昇給の際に有利です。
加えて、語学力やグローバルな視点を持つことで、外資系企業やグローバル企業での活躍も期待でき、より高い年収を狙うことができます。
転職で年収アップを目指すには
転職も人事事務の年収アップに有効な手段です。特に、管理職やマネージャーポジションでの経験がある場合は、他社への転職時に好待遇を得やすくなります。
人事の役割が広いベンチャー企業や成果主義の企業、大手企業への転職は、年収アップのチャンスが大きいです。転職活動を進める際は、自身の市場価値を正確に把握し、これまでの経験やスキルを明確にアピールすることが重要です。
また、人事コンサルタントとして独立する道もあります。コンサルティングファームや独立系コンサルタントは年収水準が高く、自身の専門性や実績次第で大きな収入を得ることも可能です。
転職や独立を視野に入れる場合は、採用戦略や人事制度設計、組織開発などの専門性を高め、多様な業務経験を積むことが強みとなります。
このように、社内でのキャリアアップと転職の両面から戦略的にスキルや経験を積み重ねることで、人事事務でも着実な年収アップが実現できます。
人事ジェネラリスト/HRBPの年収とキャリアパス
人事ジェネラリストとHRBPの年収についてまとめました。
専門性を高めた場合の年収例
人事ジェネラリストやHRBP(Human Resource Business Partner)は、企業の人事戦略を担う重要なポジションとして高い年収水準を誇ります。
2025年の最新データによると、東京の人事ジェネラリスト/HRBPの平均年収(基本給のみ、ボーナス含まず)は約700万円です。
この水準は業界や勤務地、経験年数によって変動しますが、一般的な人事職と比べて高めに設定されています。
年収の幅は広く、入社1年目のリーダー役で約530万円、ミドルキャリアでは750万円〜900万円が目安です。
さらに、外資系大手企業やシニアHRBPクラスになると1,200万円〜1,500万円、場合によっては2,000万円を超えるケースも見られます。
特に外資系企業やグローバル企業では、HRBPの戦略的重要性が早くから認識されており、報酬水準が高い傾向があります。
日本企業の場合、近年はHRBPの重要性が高まりつつあり、600万円〜1,500万円程度が相場です。
新任HRBP(経験3年未満)は600万円〜800万円、中堅(3〜7年)は800万円〜1,200万円、シニア(7年以上)は1,200万円〜1,500万円が目安となっています。
管理職やスペシャリストへの道
人事ジェネラリストやHRBPとしてキャリアを積むと、管理職やスペシャリストへの道が開けます。
まずはHRBPとして現場の課題解決や人事戦略の立案・実行を経験し、経営視点での意思決定能力や高いコミュニケーション力、問題解決力を磨くことが重要です。
その後、シニアHRBPや人事部門のマネージャー、ディレクターといった管理職に昇進することで、年収は1,000万円〜2,000万円以上に到達することもあります。
また、報酬・福利厚生スペシャリストやタレントマネジメント、組織開発などの専門分野に特化することで、さらに高い年収を狙うことも可能です。
キャリアの最終段階では、役員レベルやグローバルヘッドといった経営層への道も開かれており、2,000万円〜2,500万円を超える報酬が提示されることもあります。
このように、HRBPは専門性と戦略性を高めることで、管理職やスペシャリストとして大きなキャリアアップと年収増加が期待できる職種です。
人事事務のやりがい・メリットと注意点
仕事の魅力と課題
人事事務の最大の魅力は、企業の「顔」として会社や従業員を支える重要な役割を担える点です。採用や労務管理、教育・研修、給与計算、福利厚生など多岐にわたる業務を通じて、
会社の成長や従業員の活躍をサポートできることに大きなやりがいを感じるでしょう。特に、採用活動を通じて自分が関わった人材が組織で成長し、活躍する姿を間近で見られることは、人事事務ならではの醍醐味です。
また、人事事務は未経験からでもチャレンジしやすく、特別な資格がなくても基本的なPCスキルやコミュニケーション力があれば活躍できる点もメリットです。
業務は毎月のルーチンワークが中心で、スケジュール管理を徹底すれば残業も少なく、ワークライフバランスを保ちやすい職種といえます。
家事や育児と両立したい方や、趣味の時間を大切にしたい方にも向いています。
一方で、課題も存在します。月末や月初など繁忙期には業務が集中しやすく、正確さとスピードが求められるプレッシャーがあります。
また、従業員の個人情報や給与など機密性の高いデータを扱うため、細心の注意と責任感が必要です。さらに、会社の方針や制度変更に柔軟に対応しなければならず、常に最新の労働法や社会保険制度の知識をアップデートする姿勢も求められます。
年収以外で得られる価値
人事事務の仕事は、年収だけでなく多くの価値をもたらします。まず、会社の経営層から現場社員、学生や中途採用応募者まで、幅広い人と関わることでコミュニケーション力や調整力が磨かれます。
会社のミッションやビジョン実現に直接貢献できる点や、従業員の成長を支援することで自分自身も成長できる点は、他職種にはない大きな魅力です。
また、「会社の顔」としての責任感や誇りを持って働けること、企業のイメージアップに貢献できることも人事事務ならではの価値です。
さらに、労務管理や社会保険、給与計算などの専門知識が身につくため、キャリアの幅が広がり、将来的なキャリアアップや転職にも有利に働きます。
このように、人事事務は「人」を通じて会社と社会に貢献できるやりがいと、実務を通じて得られる多様なスキルや経験が魅力の職種です。
年収以上の充実感や成長の機会を得られる点が、多くの人が人事事務を選ぶ理由となっています。
よくある質問
Q. 人事事務の平均年収はいくらですか?
A. 全国の人事事務の平均年収は約513万円程度とされています。
Q. 年代別で人事事務の年収はどのくらい変わりますか?
A. 20代は約320万〜400万円、30代は約430万〜480万円、40代は約510万〜560万円、50代は530万〜720万円と、年代が上がるほど年収も上がる傾向があります。
Q. 人事事務の年収を上げるにはどうすればいいですか?
A. 経験を積み、マネジメントや専門スキル(労務管理、給与計算、社会保険など)を身につけ、資格取得や転職でキャリアアップすることが年収アップのポイントです。
Q. 転職時に希望年収はどのように伝えればいいですか?
A. 希望年収は「総支給額」で伝えるのが一般的です。前職の年収や自分のスキル、経験を根拠にし、理由を明確にして伝えると良いでしょう。
Q. 男女で年収に差はありますか?
A. 男性が589万円、女性が454万円と、男女で年収に開きがあるというデータもあります。
まとめ
人事事務は、企業の成長や従業員の働きやすさを支える非常に重要なポジションです。安定した収入と着実なキャリアアップが期待できる職種であり、長期的なキャリア形成を目指す方にとって魅力的な選択肢となります。
キャリアパスの観点では、まずは人事事務として基礎を固め、労務や採用、教育など複数の分野で経験を積むことが重要です。
新卒や未経験で人事部門に配属された場合、最初は採用業務や給与・社会保険料の計算、社員研修の補助業務などからスタートし、3~5年の実務経験を積んだ後、チームリーダーやマネージャーとして部下の育成や業務管理を任されるようになります。
その後、リーダーやマネージャーなど管理職への昇進や、人事ジェネラリスト、HRBPといった専門職へのキャリアアップが可能です。
人事ジェネラリストは、採用・労務・教育・制度設計など人事業務全般を幅広く経験し、最終的には人事部長やCHRO(最高人事責任者)など経営層の一員として人事戦略を策定する立場を目指します。
一方、人事スペシャリストは、給与計算や労務管理、教育研修など特定分野の専門性を深め、専門職としてのキャリアを築く道です。さらに、グローバル企業では海外人事や海外赴任のチャンスもあり、国際的なキャリアを築くこともできます。
特に大手企業や成長企業では、戦略人事や人事企画など高度な役割を担うことで、さらに高い報酬と責任を得ることができます。
近年は経営戦略と連動した「戦略人事」の重要性が高まっており、その実践者としてHRBPが注目されています。HRBPは経営者や事業部門の責任者と連携し、従業員と組織のパフォーマンス最大化を目指す役割を担います。
一方で、安定した収入やキャリアを築くためには、変化する労働法や社会保険制度への対応力、社内外との調整力、機密情報の管理能力など、常に自己研鑽を続ける姿勢が欠かせません。
人事のキャリアパスは一直線ではなく、時には横方向や斜め方向への異動も含む多様な形を取ります。自分の適性や志向、ライフステージに合わせて柔軟にキャリアを描くことが重要です。
人事事務の仕事は、年収だけでなく、幅広い人脈や実務スキル、経営視点など多くの価値を得られる点も大きな魅力です。組織運営や人材戦略に携わることで、経営層とのコミュニケーション能力や戦略的思考力も磨かれます。
こうした経験の積み重ねが、将来的なキャリアアップや転職市場での高い評価につながります。
総じて、人事事務は長期的なキャリア形成と安定した収入を両立できる職種です。自らの強みを磨き、積極的にスキルアップやキャリアアップを目指すことで、将来にわたり高い市場価値と満足度を得ることができるでしょう。

監修者
横浜国立大学理工学部卒。
株式会社DYMに新卒一期生として2011年に入社し、WEBプロモーションなどのデジタルマーケティング領域で業務に従事し、その後新規事業立ち上げを経験。
2015年よりDYMの人事部へ異動し人事領域を統括、毎年多くの就活生や求職者との面接・面談を実施。
内定チャンネルなどの採用関連メディアへの出演や記事監修を通して人事・人材関連の情報を発信中。
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