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IaCとは?初心者でもわかる基礎からメリット・デメリットまで徹底解説

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IaCとは?初心者でもわかる基礎からメリット・デメリットまで徹底解説

はじめに

現代のIT業界では、システムやサービスの開発・運用において「スピード」と「安定性」がますます重要視されています。クラウド技術の進化やビジネス環境の変化により、インフラストラクチャーの構築や管理方法も大きく変わろうとしています。

従来、サーバーやネットワークの設定はエンジニアが一つひとつ手作業で行い、複雑な環境を維持するには多大な労力と時間が必要でした。しかし、手作業による運用はヒューマンエラーが発生しやすく、環境ごとの違いによるトラブルや、再現性の低さが課題となっていました。

こうした背景から、インフラ管理の新しいアプローチとして注目されているのが「IaC(Infrastructure as Code)」です。IaCは、インフラの構成や設定をプログラムコードとして記述し、自動で構築・運用できる仕組みを指します。

これにより、同じ環境を何度でも正確に再現できるだけでなく、バージョン管理や変更履歴の追跡も容易になり、チームでの協働や標準化も進めやすくなります。クラウドサービスの普及とともに、IaCはAWSやAzureなどの主要なプラットフォームでも広く採用され、現場のエンジニアだけでなく、ビジネスサイドからも注目を集めています。

本記事では、IaCの基本的な考え方や仕組み、そして実際に導入する際のメリット・デメリットについて、初心者の方にもわかりやすく解説します。まずは「IaCとは何か?」という基礎からスタートし、従来手法との違いや、なぜ今IaCが必要とされているのかを整理します。

そのうえで、IaCを活用することで得られる具体的な利点や注意点、代表的なツールや導入事例など、実践に役立つ情報を網羅的に紹介します。

これからインフラ自動化に取り組みたい方、業務効率化や品質向上を目指すエンジニア、あるいは最新のITトレンドを知りたいビジネスパーソンまで、幅広い読者に向けて、IaCの全体像を丁寧に解説していきます。

この記事を通じて、IaCの本質を理解し、実践への第一歩を踏み出すきっかけとなれば幸いです。

IaCとは?基本の考え方の仕組み

IaCとは?基本の考え方の仕組み

IaC(Infrastructure as Code)とは、従来エンジニアが手作業で行っていたサーバーやネットワーク機器、OSやミドルウェアなどのインフラストラクチャーの構築・設定・管理を、プログラムコードとして記述し、自動化する技術や考え方を指します。このアプローチにより、インフラの構成や設定をコード化することで、一貫性のある環境を素早く、かつ正確に再現できるようになります。

基本の考え方

IaCの最大の特徴は、「インフラをプログラムと同じようにコードとして扱う」点にあります。従来のインフラ管理では、物理サーバーやネットワーク機器の設定を人が手作業で行い、その内容は担当者の頭の中やメモ、手順書などにしか残らず、属人化やミス、再現性の低さが大きな課題でした。

IaCでは、インフラの構成や設定をYAML、JSON、HCLなどの構成ファイルやスクリプトとして記述します。これらのファイルはGitなどのバージョン管理システムで管理され、ソフトウェア開発と同じように変更履歴の追跡やレビュー、ロールバックが可能です。

そのため、インフラの変更や展開も迅速かつ柔軟に行えるようになり、開発チームと運用チームが協力しやすくなります。

仕組み

IaCの仕組みは、コード化された設定ファイルをもとに、専用のツール(例:Terraform、AWS CloudFormation、Ansibleなど)が自動的にサーバーやネットワーク、ストレージなどのリソースを構築・設定するというものです。

出典:IaCとは?インフラをコード化するメリットと注意点・導入例を紹介!

これにより、同じコードを使えば、開発・テスト・本番など複数の環境で全く同じ構成を何度でも再現できます。

また、IaCは「宣言型」と「命令型」という2つのアプローチがあります。宣言型は「最終的にどうなってほしいか」を記述し、ツールが自動的にその状態になるように調整します。一方、命令型は「どのような手順で構築するか」を明示的に記述します。

IaCのメリット

  • 一貫性の確保:毎回同じ環境を再現できるため、開発・テスト・本番での動作差異が減少。
  • 自動化による効率化:手作業による設定ミスや作業時間の削減。
  • バージョン管理:インフラの変更履歴を追跡でき、ロールバックも容易。
  • 柔軟性と拡張性:クラウドや仮想環境と組み合わせて、大規模なインフラも迅速に展開・変更可能。

出典:IaCとは?インフラをコード化するメリットと注意点・導入例を紹介!

 

IaCは、インフラ管理の自動化・標準化・効率化を実現する現代ITの基盤技術です。コードによる一元管理により、ミスの削減や作業の高速化、再現性の向上など多くのメリットをもたらします。これからのインフラ運用に欠かせない考え方として、今後ますます普及が進むでしょう。
 

なぜ今IaCが必要なのか

近年、ITインフラの構築・運用において「Infrastructure as Code(IaC)」が急速に普及しています。

その背景には、クラウド技術の進化やビジネス環境の変化、そして開発・運用現場のニーズの多様化があります。なぜ今、IaCが必要とされているのか。その理由を紐解くと、従来の手法では対応しきれない課題が浮き彫りになります。

まず、従来のインフラ管理は、サーバーやネットワーク機器の設定・構築を人手で行う手作業が中心でした。この方法では、担当者ごとに作業内容や手順が異なり、設定ミスや属人化、環境ごとのばらつきが発生しやすいという問題がありました。

また、新しい環境を構築するたびに同じ作業を繰り返すため、時間とコストがかかり、迅速なサービス展開や変更への対応が難しくなっていました。

そこで登場したのがIaCです。IaCは、インフラの構成や設定をコードとして記述し、自動化することで、手作業によるミスを防ぎ、一貫性のある環境を素早く再現できるようにします。

これにより、開発・テスト・本番など複数の環境で同じ構成を再現できるため、環境間の不一致やトラブルを大幅に減らすことができます。

さらに、IaCはバージョン管理が容易である点も大きなメリットです。コードとして管理することで、変更履歴の追跡やロールバックが簡単になり、いつ・誰が・どのような変更を加えたのかが明確になります。これにより、運用の透明性と安全性が向上し、チーム全体での標準化やベストプラクティスの共有も進みます。

現代の開発現場では、DevOpsやアジャイル開発の普及により、インフラの迅速な構築と変更が求められています。IaCはCI/CDパイプラインとの連携が容易で、インフラの自動デプロイやテストも実現できます。

これにより、開発と運用の垣根が低くなり、ビジネスのスピードに合わせて柔軟にインフラを拡張・縮小できるようになりました。

また、クラウドサービスの普及により、リソースのスケーリングや複雑なインフラ管理が日常的になっています。IaCを活用すれば、リソースの追加や削減もコード一つで柔軟に対応でき、コストや運用負荷の最適化が可能です。

このように、IaCは「自動化」「再現性」「バージョン管理」「スケーラビリティ」「運用コスト削減」など、現代のITインフラに不可欠な要素を実現するために必要不可欠な存在となっています。

今後もクラウドネイティブ技術やマルチクラウド戦略の拡大とともに、IaCの重要性はますます高まっていくでしょう。

従来手法との違い

従来手法との違い

インフラ構築・運用の現場では、長らく「手動作業」が主流でした。サーバーやネットワーク機器の設定、OSやミドルウェアのインストール、パラメータの調整など、エンジニアが一つひとつの工程を手順書やマニュアルに従って行うのが一般的でした。

 

しかし、こうした従来手法には多くの課題があり、現代のシステム運用には限界が見えてきています。IaC(Infrastructure as Code)は、こうした課題を根本から解決する新しいアプローチです。

構築・管理方法の違い

従来の手法では、インフラの構築や設定は手作業やGUI操作に依存していました。これに対し、IaCではインフラの構成や設定をYAMLやJSON、HCLなどのコードとして記述し、自動化ツールを用いて一括で構築・管理します。この違いにより、IaCは作業の自動化と一貫性の確保を実現します。

再現性と一貫性

手動作業では、担当者ごとに手順や設定内容が異なりやすく、手順書への依存や人的ミスが発生しがちです。結果として、同じ環境を再現することが難しくなります。IaCでは、インフラの状態をコードで明示的に定義し、そのコードを実行することで、どの環境でも同じ構成を確実に再現できます。

出典:インフラストラクチャー・アズ・コード(IaC)の導入と活用法

バージョン管理と変更履歴

従来手法では、設定変更の履歴が不明確になりやすく、どのタイミングで何が変わったのかを追跡するのが困難でした。IaCでは、コードをGitなどのバージョン管理システムで管理できるため、誰が・いつ・どのような変更を行ったかを明確に記録でき、ロールバックも容易です。

出典:インフラストラクチャー・アズ・コード(IaC)の導入と活用法

 

スケーラビリティとスピード

手動作業では、システムが大規模化するほど作業量とコストが膨大になり、迅速な対応が難しくなります。

 

IaCは自動化により、大規模なインフラの展開や変更も高速かつ効率的に実現できます。クラウド環境では、ボタン一つでリソースのスケーリングや環境の再構築が可能です。

出典:インフラストラクチャー・アズ・コード(IaC)の導入と活用法

 

コラボレーションと標準化

従来の手法では、知識やノウハウが担当者に属人化しやすく、チームでの情報共有や標準化が進みにくい傾向がありました。IaCでは、コードレビューやドキュメント化を通じて知識を共有しやすく、チーム全体での品質向上や運用標準化が進みま

す。

 

出典:インフラストラクチャー・アズ・コード(IaC)の導入と活用法

 

従来手法とIaCの違いを整理すると、IaCは「自動化」「再現性」「バージョン管理」「スケーラビリティ」「知識共有」といった現代のIT運用に不可欠な価値をもたらします。手動作業中心の運用から脱却し、コードによる効率的かつ安定したインフラ管理を実現するIaCは、今やクラウド時代の新しい標準となりつつあります。

 

IaCのメリット

IaC(Infrastructure as Code)は、インフラ構成や運用をコードとして管理・自動化する手法であり、従来の手動運用と比べて多くのメリットをもたらします。ここでは、IaC導入によって得られる主な利点を詳しく解説します。

自動化による効率化とスピード向上

IaCを活用することで、サーバーやネットワーク、ストレージといったインフラの構築・設定作業を自動化できます。

これにより、手作業による設定ミスやヒューマンエラーを防ぎ、作業時間を大幅に短縮できます。新しい環境のデプロイや変更も迅速に行えるため、ビジネスのスピードアップに直結します。

出典:インフラストラクチャー・アズ・コード(IaC)の導入と活用法

一貫性と再現性の確保

インフラの構成内容がコードとして明示されるため、開発・テスト・本番など複数の環境で同じ設定を何度でも正確に再現できます。これにより、環境ごとの差異や「動作しない」といったトラブルを減らし、安定した運用が可能になります。

バージョン管理とトレーサビリティ

IaCはGitなどのバージョン管理システムで管理できるため、インフラの変更履歴や誰が・いつ・どのような変更をしたかを明確に記録できます。過去の状態へのロールバックも容易で、トラブル発生時の迅速な対応が可能です。

運用負担の軽減と標準化

コードベースでインフラを管理することで、チーム全体で同じ運用ルールやベストプラクティスを共有しやすくなります。これにより、属人化を防ぎ、運用の標準化が進みます。さらに、運用負担が軽減され、より安全なインフラ管理が実現します。

 スケーラビリティと柔軟性

IaCでは、インフラのスケーリング(リソースの追加・削減)もコードで管理できるため、必要に応じて迅速かつ柔軟に対応できます。クラウド環境との親和性も高く、大規模なインフラの展開やマルチクラウド戦略にも適しています。

コスト削減と品質向上

自動化による作業効率化やミスの削減により、運用コストの削減が期待できます。また、事前にテスト環境で構成を検証できるため、本番環境でのエラーを未然に防ぎ、システム全体の品質向上にもつながります。

ドキュメントとしての役割

インフラの構成がすべてコード化されているため、そのまま設計書や手順書として活用できます。これにより、環境の構成が明確になり、チーム内での情報共有や引き継ぎもスムーズに行えます。

 

このように、IaCは「自動化」「再現性」「バージョン管理」「標準化」「スケーラビリティ」「コスト削減」「品質向上」「ドキュメント化」といった多くのメリットをもたらし、現代のITインフラ運用に欠かせない存在となっています。

 

IaCのデメリット・注意点

IaC(Infrastructure as Code)はインフラ管理の効率化や自動化、再現性の確保など多くのメリットをもたらしますが、その一方で導入や運用にあたってはいくつかのデメリットや注意点も存在します。ここでは、IaC導入時に特に意識すべき主な課題を詳しく解説します。

学習コストとスキル習得のハードル

IaCを導入するには、TerraformやCloudFormationなどの構成管理ツールの使い方や、宣言型・命令型といった記述方式の違いを理解する必要があります。これらのツールはそれぞれ独自の記法や仕様があり、初心者がゼロから習得するには相応の学習時間と労力が求められます。

 

また、プログラミング経験がない場合は途中で挫折するリスクも高いため、段階的なスキルアップが不可欠です。

 初期導入コストと作業負担

IaCの導入には、ツールやソフトウェアの準備だけでなく、既存インフラの構成を分析し、コード化するための作業コストや時間も発生します。特に、従来の手動管理から移行する場合は、現状の設定を一つひとつコード化する必要があり、初期段階で多大な労力がかかることがあります。

また、複雑なシステムやマルチクラウド環境では、複数のツールを組み合わせる必要があり、さらに手間が増すケースもあります。

 

コード化に時間がかかる

IaCは一度コード化すれば同じ環境を何度でも再現できますが、最初にゼロから環境をコード化する際は、設計や構築の過程でトライアンドエラーを繰り返すことが多く、思った以上に時間がかかる場合があります。特に初めての環境や複雑な構成では、コードの完成までに多くの試行錯誤が必要となります。

運用・保守の難しさ

IaCで管理するコードは、インフラの「設計書」そのものです。コードの品質や保守性が低いと、将来的な変更やトラブル対応が難しくなります。

また、ツールやクラウドサービスの仕様変更により、既存のコードが動作しなくなるリスクもあるため、継続的なメンテナンスやアップデートが欠かせません。

セキュリティ・ガバナンスの課題

IaCのコードには、システム構成やアクセス権限など重要な設定情報が含まれることが多く、不適切な管理や情報漏洩リスクに注意が必要です。バージョン管理システムでのアクセス制御や、セキュリティレビューの徹底が求められます。

IaCはインフラ運用の効率化や標準化に大きく貢献しますが、「学習コスト」「初期導入コスト」「コード化の手間」「運用保守の難しさ」「セキュリティ管理」など、導入・運用のハードルも存在します。

これらのデメリットや注意点を事前に理解し、段階的な導入やチーム内での知識共有、運用ルールの整備などを進めることが、IaCを成功させるための鍵となります。

出典:IaCとは?インフラをコード化するメリット・デメリット、導入方法

 

IaCの主なアプローチ(命令型/宣言型)

IaC(Infrastructure as Code)には大きく分けて「命令型(Imperative)」と「宣言型(Declarative)」という2つのアプローチがあります。この違いを理解することは、IaCツールの選定や運用設計において非常に重要です。

命令型アプローチ(Imperative)

命令型は「どのように」インフラを構築するか、つまり具体的な手順やコマンドを順番に記述していく方法です。利用者は、インフラを目的の状態にするために必要な操作を一つひとつ明示的に指定します。
たとえば、サーバーを作成し、ソフトウェアをインストールし、設定ファイルを書き換える…といった一連の作業手順をスクリプトとして記述します。

特徴とメリット

  • 手順や処理の流れを細かく制御できる
  • 複雑な処理や特殊な要件に柔軟に対応しやすい
  • どのような操作が行われているかが明確

デメリット・注意点

  • 手順の記述が煩雑になりやすい
  • 手順の順番や依存関係を自分で管理する必要がある
  • コードの保守性が低下しやすい

代表的なツール

  • Ansible(命令型としても使える)
  • Chef
  • 一部のシェルスクリプトや自作の自動化スクリプト

宣言型アプローチ(Declarative)

宣言型は「何を」実現したいか、つまりインフラの“あるべき最終状態”を記述する方法です。利用者は、最終的にどういう構成になっていてほしいかだけをコードで定義し、具体的な手順はツール側が自動的に判断して実行します。

特徴とメリット

  • コードが簡潔で分かりやすい
  • あるべき状態に自動的に収束するため、一貫性が保ちやすい
  • 状態の差分だけを自動で適用できる
  • 保守や変更が容易

デメリット・注意点

  • 複雑な手順や細かい制御が必要な場合は柔軟性に欠けることがある
  • ツールの仕様や自動解決の仕組みを理解しておく必要がある

代表的なツール

  • AWS CloudFormation
  • Terraform
  • Puppet
  • Kubernetes(リソース定義)

両者の比較と使い分け

項目

命令型(Imperative)

宣言型(Declarative)

記述内容

手順・コマンドを順番に記述

最終的な状態のみを記述

柔軟性

高い(細かい制御が可能)

状態管理に優れる

保守性

低くなりがち

高い

代表ツール

Chef、Ansible(命令型)、シェルスクリプト

Terraform、CloudFormation、Puppet

適した用途

複雑な手順や特殊要件のある環境

一貫性重視、標準化したい環境

 

多くのIaCツールは宣言型を採用していますが、現場の要件によっては命令型が適している場合もあります。最近は両方の側面を持つツールや、使い分けが可能なツールも増えています。

出典:IaC(Infrastructure as Code) における Declarative vs. Imperative

IaC導入時は、プロジェクトの目的やチームのスキル、運用体制に合わせて最適なアプローチを選択することが重要です。
 

代表的なIaCツールと特徴

IaC(Infrastructure as Code)の普及とともに、多様なツールが登場し、それぞれ異なる特徴や強みを持っています。ここでは、2025年時点で特に注目されている主要なIaCツールとその特徴を解説します。

Terraform(テラフォーム)

  • 特徴:HashiCorp社が開発した宣言型のIaCツール。独自言語HCL(HashiCorp Configuration Language)で記述し、AWS、Azure、GCPなど複数クラウドやオンプレミス環境に対応。
  • 強み:マルチクラウド対応と拡張性が高く、豊富なプロバイダー(外部サービス連携モジュール)を持つ。構成の再利用やモジュール化が容易で、大規模なインフラ管理にも適している。
  • 使いどころ:クラウド横断的なインフラ管理や、複雑なシステムの自動化に最適。

 

AWS CloudFormation(クラウドフォーメーション)

  • 特徴:AWS公式の宣言型IaCツール。YAMLやJSONでAWSリソースを定義し、自動で環境構築が可能。
  • 強み:AWSサービスとの親和性が高く、AWSの新機能対応も早い。スタック管理や依存関係の自動解決も強力。
  • 使いどころ:AWS環境の標準化や大規模運用、セキュリティやガバナンス重視の現場に向く。

Ansible(アンシブル)

  • 特徴:Red Hat社が開発した命令型の構成管理ツール。YAML形式のPlaybookで操作を記述し、サーバーの構成変更やアプリケーションのデプロイも自動化できる。
  • 強み:エージェントレスで導入が容易。Linux/Windows両対応。設定管理やソフトウェア配布にも強い。
  • 使いどころ:サーバー構成管理やアプリケーションの一斉展開、運用自動化に適する。

Pulumi(プルーミ)

  • 特徴:プログラミング言語(TypeScript、Python、Go、C#など)でインフラを記述できるIaCツール。
  • 強み:開発者が慣れ親しんだ言語でインフラをコード化でき、複雑なロジックや再利用性の高い構成が実現しやすい。
  • 使いどころ:アプリ開発とインフラ管理を密接に連携させたい場合や、動的なインフラ構成が必要なプロジェクトに向く。

Azure Resource Manager(ARM)

  • 特徴:Microsoft Azure公式の宣言型IaCツール。JSONテンプレートでAzureリソースを一元管理。
  • 強み:Azureサービスとの連携が強力で、ガバナンスやセキュリティ機能も豊富。
  • 使いどころ:Azure環境の標準化や大規模運用、企業向けクラウド管理に最適。

その他の注目ツール

  • Google Cloud Deployment Manager:Google Cloud専用の宣言型IaCツール。
  • Chef/Puppet/SaltStack:構成管理や自動化に特化したツールで、主にオンプレミスや複雑な環境で利用される。
  • OpenTofu、Spacelift:Terraform互換やCI/CD連携に強みを持つ新興ツールも登場している。

選定のポイント

  • 管理対象(AWS、Azure、GCP、オンプレミスなど)
  • チームのスキルセット(YAML、HCL、プログラミング言語)
  • 必要な自動化レベルや運用規模
  • セキュリティ・ガバナンス要件


Terraform、CloudFormation、Ansible、Pulumiなどは、それぞれ異なる強みと用途を持ちます。プロジェクトの目的やチーム構成、運用体制に合わせて最適なツールを選択することが、IaC活用の成功につながります。

 

IaCの導入ステップと実践ポイント

IaCの導入ステップと実践ポイント

IaC(Infrastructure as Code)の導入は、単なるツールの導入ではなく、組織のインフラ運用全体を効率化・標準化する重要なプロセスです。ここでは、IaC導入の基本ステップと、現場で失敗しないための実践ポイントを解説します。

導入ステップ

目的と範囲の明確化
まず「なぜIaCを導入するのか」「どの範囲から始めるのか」を明確にします。全社導入よりも、開発・テスト環境など限定的な領域から小さく始めるのが現実的です。

適切なIaCツールの選定
AWSならCloudFormation、マルチクラウドならTerraform、構成管理ならAnsibleなど、組織のクラウド戦略やチームスキルに合ったツールを選びます。

インフラ構成のコード化
現状のインフラ設計や運用手順を洗い出し、YAMLやHCLなどの形式でコード化します。最初はシンプルな構成から始め、徐々に複雑な環境へと拡張していきます。

バージョン管理の徹底
IaCコードはGitなどのバージョン管理システムで管理します。これにより、変更履歴の追跡やロールバックが容易になり、チームでのレビューやコラボレーションも進みます。

テストと自動化の導入
Terratestなどのツールを活用し、コードの動作検証や自動テストを行います。CI/CDパイプラインに組み込むことで、インフラ変更の自動反映や品質担保が可能です。

運用・監査・ガバナンスの強化
Policy as Code(PaC)などを活用し、セキュリティやコンプライアンスの自動監査も導入します。定期的な構成監査やドキュメント整備も重要です。

実践ポイント

  • モジュール化・再利用性の追求
    コードは可能な限りモジュール化し、再利用しやすい設計にします。これにより、複数プロジェクトや環境にまたがる運用が効率化されます。
  • 段階的な導入とフィードバック
    いきなり全てをIaC化せず、小さな単位で導入し、現場からのフィードバックを反映しながら改善を重ねます。
  • チーム内の知識共有と教育
    新しいツールや手法を導入する際は、チーム全体で知識を共有し、定期的な勉強会やドキュメント整備を行うことが重要です。
  • セキュリティ・ガバナンスの徹底
    IaCコードには重要な設定情報が含まれるため、アクセス権限や監査ログの管理、セキュリティレビューを徹底します。
  • 運用ルールの明確化
    コードの命名規則やディレクトリ構成、レビュー・デプロイ手順など、運用ルールを明文化し、チームで統一します。

 

IaC導入は、単なる自動化にとどまらず、インフラ運用の標準化・品質向上・コスト削減に直結します。目的と範囲を明確にし、適切なツール選定と段階的な導入、チームの知識共有やセキュリティ対策を徹底することで、IaCの効果を最大限に引き出すことができます。
 

AWSやAzureなどクラウドでのIaC活用事例

クラウド環境におけるIaC(Infrastructure as Code)は、インフラ構築・運用の自動化、効率化、セキュリティ強化など多岐にわたる現場で活用されています。ここでは、AWSやAzureなど主要クラウドでの具体的な活用事例を紹介します。

AWSでのIaC活用事例

セキュリティポリシーの自動デプロイと管理
AWSでは、IaCを活用してセキュリティポリシーやネットワーク設定を自動的にデプロイ・管理し、コンプライアンスの検証まで一元化する事例が増えています。

たとえば、AWS CloudFormationやTerraformを使い、ゼロトラスト原則に基づくネットワークセグメンテーションやアクセスコントロールをコード化し、複数の環境へ一貫して適用することで、運用の優秀性とセキュリティの両立を実現しています。

ガバメントクラウドでの効率的な環境構築
自治体や公共機関向けのAWSガバメントクラウドでは、IaCとCI/CDを組み合わせ、開発・運用プロセス全体の効率化を図る事例が進んでいます。

具体的には、AWS CDKやCloudFormationを用いて、Amazon RDSなどのリソースのライフサイクル管理や、インフラとアプリケーションの責務分離、設定の一元管理を実践。障害発生時の自動復旧手順もIaCで標準化されています。

インフラのバージョン管理と再現性の向上
AWSでは、IaCによってインフラ構成をGitなどでバージョン管理し、同じ環境を何度でも正確に再現できる仕組みを導入する企業が増えています。これにより、手作業による設定ミスやドキュメントとの乖離を防ぎ、開発・本番環境の差異を最小化しています。

イベント駆動型の自動スケーリングや障害対応
AWS CloudFormationとイベント駆動型プログラミング(EDP)を組み合わせ、例えばEBSボリュームの容量が閾値を超えた際に自動で拡張する仕組みをIaCで実装するケースもあります。これにより、運用負荷の軽減やシステムの可用性向上が実現されています。

インフラ構成の可視化とドキュメント自動生成
AWS CloudFormationやCDKで構築した環境を、Diagram-as-codeなどのツールで自動的に可視化し、設計図やドキュメントを常に最新状態に保つ事例も増えています。これにより、運用メンバー間の認識齟齬を防ぎ、レビュー効率も向上しています。

AzureでのIaC活用事例

Azureでも、Azure Resource Manager(ARM)テンプレートやBicep、Terraformなどを活用し、次のような事例が見られます。

  • 大規模なリソース展開の自動化:複数のAzureサービス(仮想マシン、データベース、ネットワークなど)を一括でデプロイし、開発・テスト・本番環境の標準化を実現。
  • ガバナンスとセキュリティの強化:リソースごとにポリシーやアクセス制御をコードで一元管理し、セキュリティ基準への準拠を自動化。
  • コスト最適化と運用負荷の低減:不要リソースの自動削除やスケーリング設定をIaCで管理し、コスト削減と運用効率化を両立。

AWSやAzureなどのクラウドにおけるIaC活用は、構築・運用の効率化、セキュリティ強化、再現性向上、障害対応の自動化、可視化・ドキュメント自動生成など、さまざまな現場で成果を上げています。今後もIaCは、クラウド活用の標準的な手法として、さらに広がっていくでしょう。

 

IaC導入で失敗しないためのポイント

IaC(Infrastructure as Code)の導入は多くのメリットをもたらしますが、現場ではさまざまな失敗や課題も報告されています。失敗を回避し、IaCを効果的に活用するための重要なポイントをまとめます。

目的とスコープを明確にする

IaCはあくまで手段であり、目的ではありません。何のためにIaCを導入するのか(例:運用効率化、再現性向上、セキュリティ強化など)を明確にし、プロジェクトや運用のどの範囲までIaCを適用するのか事前に定義しましょう。無理に全てをIaC化しようとせず、必要な部分から段階的に進めることが成功の鍵です。

学習コストと継続的な知識習得への備え

IaCツールやクラウドの仕様には独自のルールや考え方があり、導入時は必ず学習コストが発生します。また、ツールのアップデートや新機能へのキャッチアップも求められます。導入前にチームで十分な知識を共有し、継続的な学習体制を整えておくことが重要です。

手動オペレーションの排除と運用ルールの徹底

IaC導入後に、管理対象リソースを手動で変更すると、コードと実際の環境に差分が生じ、IaCのメリットが失われます。運用ルールとして「リソースは必ずIaC経由で管理する」「手動変更は原則禁止」といった強い意思と権限管理の徹底が不可欠です。

コードのモジュール化と再利用性の追求

IaCコードはモジュール化し、再利用しやすい設計にしましょう。これにより、複数プロジェクトや環境間での運用効率が向上し、保守性も高まります。

セキュリティ・シークレット管理の徹底

IaCコードにはパスワードやAPIキーなどの機密情報を含めないようにし、変数やシークレット管理機能を活用して秘匿性を確保します。ハードコーディングは厳禁です。

冪等性(Idempotency)とテストの重視

IaCの操作は何度繰り返しても同じ結果になる「冪等性」が求められます。テストやレビューを通じて、意図しない構成変更やエラーが発生しないように品質を担保しましょう。

導入初期の効率低下を許容し、経験を積む

導入初期はツールやコードに慣れるまで効率が下がることがありますが、これは長期的な効率化や品質向上への必要な投資です。最初は小規模なシステムからIaCを適用し、経験を積みながら徐々に適用範囲を広げていくのが現実的です。

適切なツール選定と要件整理

IaCツールには宣言型・命令型などさまざまな種類があり、要件やチームスキルに合ったものを選ぶことが大切です。ツールごとの特徴や記法、運用スタイルを事前に十分調査しましょう。

IaC導入を成功させるには、「目的と範囲の明確化」「運用ルールの徹底」「継続的な学習」「セキュリティ管理」「モジュール化・再利用」「冪等性の担保」など、技術面と運用面の両方で地道な取り組みが不可欠です。段階的な導入とチーム全体での知識共有を心がけましょう。
 

まとめ・今後の展望

まとめ・今後の展望

IaC(Infrastructure as Code)は、2025年現在、ITインフラ管理の新たな標準として定着しつつあります。クラウドネイティブ技術の普及やマルチクラウド・ハイブリッドクラウドの拡大、エッジコンピューティングの台頭といったトレンドが後押しし、IaCの重要性はますます高まっています。

IaCがもたらした変革

IaCの導入によって、インフラ構成の自動化・標準化・再現性の確保が実現しました。これにより、運用ミスや設定の属人化を防ぎ、開発・テスト・本番といった異なる環境間でも同じ構成を迅速に再現できるようになりました。また、コードによる管理でバージョン管理やレビューも容易になり、インフラ運用の品質と安全性が大きく向上しています。

加えて、IaCはスケーラビリティや柔軟性にも優れており、リソースの追加・削減や新規環境の立ち上げも短時間で実現可能です。これにより、ビジネスのスピードや変化への対応力が飛躍的に高まりました。

現状の課題と進化

一方で、IaC運用には「ツールの複雑化」「状態管理」「セキュリティリスク」「複数ツールの統合運用」など新たな課題も顕在化しています。特にマルチクラウド・ハイブリッドクラウド環境では、各クラウドごとの仕様差や運用ルールの統一が大きなテーマとなっています。

この課題に対し、2025年現在ではAIや機械学習を活用したインフラ最適化や、自然言語でインフラを定義できる宣言型言語の進化、セキュリティやコンプライアンス自動チェック機能の強化など、IaCツール自体も急速に進化しています。また、環境負荷を抑えるグリーンIT対応や、マルチクラウドのオーケストレーション機能も注目されています。

今後の展望

今後のIaCは、以下のような方向へ進化していくと考えられます。

  • さらなる自動化と知能化:AIが最適なインフラ設計を提案し、セキュリティチェックや運用監査も自動化される時代が到来しています。
  • マルチクラウド・ハイブリッドクラウド対応の深化:抽象化レイヤーの進化により、異なるクラウド間で一貫した運用が可能となり、ベンダーロックインのリスクも低減します。
  • セキュリティ・ガバナンスの標準化:IaCコードへのセキュリティポリシー組み込みや自動監査の普及により、ガバナンス強化が進みます。
  • 環境・サステナビリティへの貢献:IaCを活用したエネルギー効率最適化や環境負荷低減が、企業の社会的責任としても重視されます。
  • 開発・運用のさらなる融合(DevOps/GitOps/Platform Engineering):IaCはDevOpsやGitOpsの基盤として、開発と運用の垣根をなくし、より俊敏なシステム運用を支えます。

まとめ

IaCは今後も、クラウド時代のインフラ運用に不可欠な基盤技術として進化し続けます。自動化・標準化・セキュリティ・サステナビリティといった観点から、企業の競争力や社会的責任を支える存在となるでしょう。今後も最新技術やベストプラクティスを積極的に取り入れ、IaCの恩恵を最大限に活用することが、ITインフラ運用の新しい常識となっていきます。

 

株式会社DYM 人事部長 熊谷直紀

監修者

株式会社DYM 人事部長 熊谷直紀

横浜国立大学理工学部卒。
株式会社DYMに新卒一期生として2011年に入社し、WEBプロモーションなどのデジタルマーケティング領域で業務に従事し、その後新規事業立ち上げを経験。
2015年よりDYMの人事部へ異動し人事領域を統括、毎年多くの就活生や求職者との面接・面談を実施。
内定チャンネルなどの採用関連メディアへの出演や記事監修を通して人事・人材関連の情報を発信中。

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